昼なお妖しい兎我野町。
ただ、不景気の煽りをまともにくらっているのか、入口を閉ざしている様子の店舗が多く、その分怪しさも息を潜めているようにも映る。
そんな界隈の裏手、ガランとしたモータープールに面して佇むのが、欧風料理「グリル ロア」だ。ファサードの雰囲気や赤い看板の赤い意匠から察するに、ちょっと小戯れた店なのかしらんと、そう思う。
ところが、迎えてくれたのは、少々怪訝そうな表情のコック帽のオヤジさん。
5席のカウンターに並んで陣取りました。
レンジと俎板に挟まった狭い厨房に三人のコックコートが並ぶ。
三人が三人とも独特の空気を纏っていて、どこかちぐはぐな所作が交錯するのが面白い。
お願いしたのは、「オムカツ」。
「オムカツ」は、店頭のランチメニューには載っていないプチ裏メニューだ。
おお、なかなかのボリューム感ですねと受け取って、早速スプーンに巻いたナプキンを解く。
ありそでなさそな、オムライスにカツレツを載せてしまいましたという「オムカツ」。
その雄姿を改めてしげしげ眺めてから徐ら、スプーンを玉子に突き刺していただきます。
うんうん、うんうん。
カツレツの存在がやっぱり、お皿全体をゴージャスにしていて、そこへ浅い色合いの個性的なデミソースがエグイ旨みを急き立てる。
そう感心していると、中からケチャップライスの酸味甘みがボリュームたっぷりに迫る迫る。
兎我野町の老舗洋食店「グリル ロア」は昼の顔。
夜ともなれば、元来の黒毛和牛ステーキの店に変貌するという。
飾りっ気一切なしの、ベタに旨いステーキがいただけそうな、そんな予感がいたします。「グリル ロア」 大阪市北区兎我野町12-15 丸一ビル1F[Map] 06-6312-2293
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