道真公を祀る湯島天神(湯島天満宮)には、合格や学問成就を祈願する学生たちが押し寄せるのは、周知の通り。
藤原時平の讒言により大宰府に左遷された藤原公が京の邸宅で詠んだ歌が、
東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ
京は北野の天神さん、北野天満宮本殿前の梅の花を愛でた時にも、いつか大宰府も訪れてみたいと思っていました。
博多の天神から初めての西鉄に乗り、
西鉄二日市で乗り換えて大宰府駅へ。天満宮へと続く参道はなかなかの賑わいでありました。
お約束とばかりに、参道の売店で梅ヶ枝餅ひとついただいてから、
北野天満宮でも撫でた御神牛を横目にさらに鳥居を潜る。
そこで早速迎えてくれるのが、心字池に架る太鼓橋。太鼓橋-平橋-太鼓橋とみっつの橋が連続して、
“心”の文字のカタチに形造られたという池を渡る。
♪ 心字池にかかる 三つの赤い橋は、
一つ目が過去で 二つ目が現在(いま)
三つ目の橋で君が… と、
さだまさしが1977年のアルバムに収めた「飛梅」で歌ったのが、
この橋のことなのでありますね。
そして、御本殿の右手に大事に囲われているのが、
当の飛梅であるという。まだ梅の花咲く時季ではなかったのが残念ながらも、
きっとその頃には相当混雑するのでしょね。
「飛梅」に倣い、
♪ 裏庭を抜けて お石の茶屋へ寄って 梅ヶ枝餅を…、
食べるのも手なのかもと思いつくも、
既にもう食べちゃった(笑)。そこで、お食事処を求めて、駅へと戻る参道を途中から外れてみる。
一軒の古民家と思しき家屋の軒先に、
飲食店らしき気配を感じて近づきました。
割と華奢な硝子戸を引き開けると、
小上がりと呼ぶには広すぎる板の間が迎えてくれる。何故だか久しぶりに「コロナ」な気分。
ライムを壜に突っ込むスタイルを最初に考えたのは、
何処の何方なのかなぁなんて今更ながらのように思いつつ、
細身の壜を傾けます。
お店の雰囲気は”古民家和カフェ”と云うか、
謂わば”古商家和カフェ”でありますが、
ランチメニューの軸は、カレーというのがなんだか微笑ましい。辛過ぎない?と訊いてから(笑)、
揚げ野菜を添えた十五穀米とグリーンカレーをお願いしました。
青唐辛子などなどの風味とココナツミルクの濃度のバランスが、
とてもいい。
デザートには、黒蜜をかけた抹茶を最中で挟んだアイスクリーム。ちょっとしたことだけど、
涼しい器にただアイスを盛るだけでないひと手間を思いつつ、
大口開けて噛り付く。
店の前の道を通り過ぎる参拝客たちを硝子越しに眺めつつ、
もうひと齧り、ふた齧り。
太宰府天満宮の参道からちょっと外れた静かな横道に、
古商家和カフェ的カレーの店「和気藹々」がある。ファサードの右手には、ショーケースと思わせる一角もある。
元々はどんなものを商っていたお店だったのでしょう。
お店の名の通り、和やかに穏やかにさせてくれる空間がありました。
「和気藹々」
太宰府市宰府3-2-14 [Map] 092-921-4441