狂気を孕んだかのようにも思えた観光客たちの人熱れも、どうやらひとまず落ち着いたようで、場内へ向かう足取りも幾分か軽くなる。
春は築地で昼ごはん!てな陽気の下、魚がし横丁へと向かいます。
正門からアプローチして最初に出会うのが、10号館の二階建て。
その10号館の最も正門寄りにあるのが、食堂「磯野家」の暖簾です。
店前の色褪せたメニュー写真をちら見して、二階への階段に足を掛ける。二階を仕切っているらしき大将のポジションはおよそ階段上のレジ辺り。
オバサマたちの案内で所定のテーブル席につく。日によって妙に空いている時も偶にあって、それはきっとちょっぴり早いタイミングで来れた時。
そんな時は奥のテーブルが指定席となります。
三月の某日には何度目かの「かきめし」。牡蠣エキスを含んだ汁で炊いた格好になるであろうご飯にはオコゲも混じっていたりなんかして、これが不味かろうはずがない。
一気に喰らってしまいそうになるのを自制しなきゃなりません(笑)。
そんな「かきめし」は、定食のご飯を「かきめし」にしてもらうのが常套手段。
定食お品書きのの冒頭にある、豚肉ならぬ「いかの生姜焼き定食」あたりが気になるところ。時季にはよるものの、おおおと目を見張る大振りの烏賊。
焦げた醤油とおろし生姜の風味辛味がしっかり利いた、ワイルドにして柔らかな胴も下足も、単刀直入に旨いのだ。
四月中旬の或る日には「帆立青菜旨煮焼きそば」。ホタテのヤキソバと注文すればよい感じ。
半生に焼かれた帆立が帆立らしい食感と甘さを湛えてる。
所々がいい具合に焦げたやわ焼きの麺に練り芥子を織り交ぜつつ、あんと絡めていただけば、うんうん、大盛りを注文めばよかったとそんな後悔を抱かせます。
五月のとある晴れたおひるには「豚ロース生姜焼き定食」。豚肉の脂っ気の程度や厚み、おろし生姜のたっぷり具合、タレの甘さ辛さに絡めの塩梅、そして過ぎない焼き加減とGingerちんも何気に評価してくれる生姜焼きなのではないかと、秘かに腕組み考えておるところです(笑)。
魚がし横丁10号館に掲げた暖簾に和食洋食中華と謳う「磯野家」がある。一階には、磯野家の「磯寿司」。
誰が云ったか、困った時は「磯野家」へ行け!というのは、築地場内フリークのちょっとした不文律になっているとかなっていないとか(笑)。
Webページに書かれている、“総合食堂”という謳い方もなかなか云い得た言い回しだ。
中央区築地5-2-1 築地市場内 魚がし横丁10号館 [Map] 03-3542-1954
http://www.isonoya.co.jp/