
半年に一度の検診がすんなりと済んだ後。
高輪台の静かな住宅地を散策します。
高輪警察署方向に一方通行を往って、
明治学院前信号の通りに出る手前を右手に折れる。
新聞専売所の幟が揺れる、何気ない裏道。
そこに知る人ぞ知る中華料理店があるのです。
気密性が高いところで換気扇を使って負圧にしているからなのか、
妙に重たくなっているドアをぐっと引き開ける。
正面には主人が筆を揮ったらしき書の額と、
何でしょう、蓮のような形の艶やかな華が硝子の水鉢に浮かんでいます。


そこを回り込むようにすると視界が開け、
左手の厨房を横目にその先のテーブル席へ。
背後からブラインド越しの陽射しが射し込んでいます。
「直城」のランチメニューは、5種類の「本日のランチ」と「ランチコース」。
麺料理5種類に「四川名物水餃子」といった点心にデザートという構成になっている。
10個の水餃子だけでお腹一杯になりそうだなぁと考えながら、
気になる「担担麺」をお願いしました。

たっぷりと深く、両サイドを抓んだような独特なフォルムのドンブリ。
そこから橙色のスープに浮かぶ挽肉と青菜が覗いています。

どれどれと蓮華で掬ったスープをひと口。
お、おお、おお。
深いコクと素直な旨味を湛えた下地のスープが上等で、
そこに輪郭を与える辛さと胡麻の風味の加減が素晴らしい。
胡麻ペーストたっぷりであってこそのタンタン麺、
なぁんて思い込んでいたけれど、
それはある意味間違いであったとハッとなる。

辛くないと厭だという御仁の期待にはそぐわないかもしれないし、
本場四川のそれとは異なるアプローチなのかもしれないけれど、
今までで一番しっくりと美味しいと思う担々麺であります。
日を替えて、今度はAランチの「麻婆豆腐」をいただきました。

どこか焦げ付いたかのような麻婆豆腐とは異なる景色。
ここでも下地のスープの旨みを台なしにしないように仕立てた印象がする。
麻や辣の刺激で圧倒するようにびりびりと攻めるばかりの麻婆豆腐にはない、
丁寧で上品な美味しさの麻婆豆腐であります。
デザートにいただいた特製「杏仁豆腐」。

よく定食のおまけで添えてくれるような寒天主体のそれとは比べるものではないけれど、
杏仁粉の風味たっぷりこっくりとして、こうでなくっちゃねと思わず頷く。
ちょっとした贅沢の期待をそっと満たしてくれました。
高輪台の住宅地に丁寧な仕立ての中華料理店「直城(ナオキ)」がある。

ランチを過ごすだけでは判らないシェフの本懐が夜のテーブルにありそうな、
そんな予感がいたします。
今度は夕方から出掛けて、ゆっくりと過ごしてみたいな。
「直城」
港区高輪3-3-8 アブニール高輪1F [Map] 03-5798-3225
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