そこから吉祥寺駅方面へと階段を数段上がると、見えてくるのが「いせや」の看板。空席を待つひと影も定番です。
しっかり手拭いで髪を包んだお兄さんたちが、焼き台に向かう。 ふと頭上を見上げると、 積年の油と埃が纏わり付いて換気扇の周りが凄いことになっている(笑)。
焼き台から上がる煙の表情を眺めながら、 案内されたカウンターの隅に腰を据えます。 振り返って眺める、扉や板戸を端から取っ払った佇まいがいい。ずっと以前訪れた時は、ずっと奥のテーブル席だったんだったかなぁ。
麦酒をすっ飛ばして、ホッピーを所望します。 頭上に札が掛かっているものが、注文できるもの。 あれこれ考えるよりも、 なんて気分になって「ミックスやきとり」1皿4本を併せてお願いします。
まずは、やっぱり「モツ煮込み」から。「いせや」のモツ煮は、醤油仕立てのあっさりタイプ。 ホッピーとの相性の良さは、なはは、云うまでもありません。
「こはだ酢」は、どっぷりと酢に浸かった感じ。あ、酢の物なんだ、ってな顔もまた、ありですね。
「ミックスやきとり」のお皿を受け取って、 これは焼き鳥か焼きトンかと眺める一瞬。いかん、眺めてても冷めるばかりだと串を手に、こそぐように。
ホッピーのジョッキを飲み干そうとしたところで、 厨房へ持ち込むべくとすぐ脇にどんと置かれた串の山。バラ肉のようにもみえるけど、なんの串だろね。
もう何本か、と「ひなどり」と「つくね」を追加して。しっとり細やかな食感のつくねに香ばしさが宿っています。
隣に座ったポッチャリ君は、烏龍茶で串を何本か一気に平らげた後、 店のお兄さんにこう告げた。 「生姜焼きにライス〜」。 隣の芝は青く見える以上に旨そうな、横目で眺める「豚しょうが焼き」。そうか、「いせや」は呑兵衛の聖地だとばかり思い込んでいたけれど、そもそもが精肉店。 こうして食堂使いするのも当たり前の光景だったのだね。
吉祥寺で創業、ご愛顧頂いて80余年と謳う、 やきとり「いせや総本店」の公園店。公園店が開店したのは、昭和35年(1960年)のことだという。 その古びた建物や設えの情緒も味わいとなっていたけれど、 08年に改築がなった御殿山の本丸に続いて改築となるのだそう。 またひとつ、懐かしさ誘う景色がなくなります。
「いせや総本店」公園店 武蔵野市吉祥寺南町1-15-8 [Map] http://www.iseya-kichijoji.jp/
column/03283
高田渡さん行きつけのお店でしたので、ファンとしては一度は行ってみたいと思い続けております。
ほとんどのお店に一人で入れますが、こちらは無理です…
夫を誘っておりますが「もっと近ければねぇ~」と言われます。
小さい頃井の頭線沿線に在住していた者としては、井の頭公園に行く時必ずと言っていいほど通過するこの地は、嗅覚で思い出す場所(笑)。
最後にこの場所を通ったのは12年ほど前? この日は話し合いの場が向いのお店だったので行く事が出来ませんでした・・・。
ここに豚生姜焼きがあるなど、想像したこともありませんでした!
なんだかあの場所の煙と臭いが思い出される写真の数々、この記事を読んで、次回帰国の機会があったら是非行ってみたい場所の一つになりました。
Re:Rさま
そうですか〜。閉じた印象のつくりでなく、絵に描いたような開けっ広げな設えですから、ふらっと足を踏み入れてみては。でもそれももう、新しくなったお店でのこと、ですね。
Re:seppさま
あの、池に至る階段と煙と匂いの光景は、沢山の人たちの記憶に刻まれているのですねー。残念ながら、seppさんが帰国する頃には、ちょっと違うことになっちゃっていそう。でも、あっという間に思い出に馴染む景色になってる気もします。ぜひ一度、ご帰国を (^-^)/ 。