きっと極端なへそ曲り以外の東大生が一度は訪れたであろう喫茶「ルオー」。 「ルオー」は、セイロン風カレーで有名らしい。界隈にはそうそう来る機会も多くないので、ちょっと寄り道してみましょう。
店内は、セピア色した、如何にもの落ち着いた雰囲気。椅子に座る頃には、さっきまでの時間がゆっくり流れはじめるのが分かります。 椅子の背凭れには、喫茶店らしい意匠の刳り貫き。永く使われてこその風合いが木目の艶に現れています。
眺めるメニューにお食事系は他になし。 その名もそのまま、「セイロン風カレーライス」をいただきます。
滑らかなピアノ流れるクラシックは、どなたの曲でしょう。じゃが芋と肉片とを戴いたカレーのお皿が届きました。
どこがどうセイロン風なのか、とちょっぴり身構えつつスプーンを動かすと、 そんな食べ手の余計な力みなんてどこ吹く風。スパイシーな辛さやコクが主張するでもなく、 突出した風味で演出する訳でもない。 かといって、お家カレーとは何かが違う。 そして、じわりじわりと美味しさが伝わってくる。 繊維に沿って解すお肉は果たして、 すっかり脂を落とした豚肉か、胸肉あたりの鶏肉か。
セイロン島には行ったことがあるのですか、 なんて訊くのはまさに野望なことだと思えてくる。 実際のところはさて置いて、 「だから”風”なんですよー、笑」みたいなご主人の笑顔が容易に想像できる。セットのアイスコーヒーをいただきながらそんな風に思うのでありました。
ラッキョウを丁寧にスライスしてある感じとか、 喫茶店なのに禁煙にしてくれているところなんかも、いい。 二階の席も同じように禁煙なのかな。
本郷通り東大前、本郷郵便局並びの「ルオー」は、昭和27年開業の老舗喫茶店。店名の”ルオー”は、”Rouault”と綴る。 そうなのかどうか訊き損なってしまったけど、 “Rouault”はどうやら、フランスの画家「ジョルジュ・ルオー」に因むものであるらしい。 そうか、セピアの壁に掛かっていた額の幾つかは、「ルオー」の作品を飾るものなのかもしれないね。
「ルオー」 文京区本郷6-1-14 [Map] 03-3811-1808
column/03273
前々から「セイロン風カレー」を頂いてみたいと思っていますが、
なかなか機会がありません。
近くに行ったら…では何時までも行けませんね。
Re:Rさま
そのうちに~と思っていて、ずっと行けない処って結構ありますもんね。
散歩な気分で、でもちょっと確かな意思をもって、と背中合わせのノリのある時に、ぜひ♪