
思えば久し振りの学芸大学駅。
ちょうど秋祭りの週末だったらしく、駅前には太鼓を積んだトラックが出番を待っていました。
予行演習の笛の音を背に高架脇を辿る。
目当ては、いつぞやの土佐料理の店です。
カウンターの一番奥に陣取って、ひとまず麦酒。
こちらを訪ねたら、名物「かつおたたき」をいただかねばなりません。


皮目を炙るのは流石に藁でないけれど、ぬめっ脂が光る包丁のかつお。
刻んだ茗荷をのっけて、が一番オツないただ方でございます。

「よね津」のもうひとつの名物が、「名物鯨カツ」。
ころころとした一見丸いコロッケのよう。

特製のソースにちょんとつけて齧ると、柔らかな牛の肉のような歯触り。
品のいい身肉の香りと溢れる旨み。
うんうん、美味しい。
菊の花の彩りが鮮やかなのが、「さわらの蓮根蒸し」。

薄くスライスした蓮根に包むように蒸し上げた鰆の身は、甘くしっとりとして。
きゅっと傾けるお猪口がよく似合います。
前回同様もどうしても気になっちゃう、「四万十川ごりの唐揚げ」。

さくっと軽妙な響きとともに口腔に広がる四万十の滋味。
腸の微かな苦みが酒肴としての粋を思わせます。
土佐煮か唐揚げかを選べる、定番の里芋の小鉢。

山椒の葉をあしらった里芋を口に含むと、
とろんとした里芋のほの甘さに鰹出汁の風味が追い掛ける。
これまたオツなお惣菜であります。
〆にとあらかじめお願いしていた「土佐の棒寿司」。

以前一月にお邪魔した際は、土佐清水の鯖棒寿司だったけど、この晩はカマスの棒寿司。
鯖の脂が深みを生む鯖棒寿司に対して、比較的あっさりした中に独特の風味が香るカマスの棒寿司もまた、いい。
土佐料理を基調にしてオツで端正な酒肴の品書き、和食「よね津」。

ご主人が淡々とした調子で繰り出す器たちをただ素直に味わえば、穏やかな幸せが得られること請け合いです。
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「よね津」
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