本島飛び越えて石垣に行くことが多いこともあって、「美ら海水族館」へはまだ行ったことがありませんでした。
やっぱり一度は観ておきたいなぁと、目指す本部半島。
無料になった自動車道を快調に走ります。
終点の許田ICから海岸沿いの58号線をエメラルドグリーンの水面を眺めながら辿る。
途中から海岸線を離れて、半島の真ん中へとハンドルを向けたのは、「美ら海」前に腹拵えをしようと企んでいたからです。
カーナビが示すのは、84号線の伊豆味という信号辺り。
でもそれらしい看板が見当たらないまま通り過ぎてしまい、
そんな筈はないと引き返す。
すると、ブロック塀に囲まれた白塗りの平屋家屋の隅に「山原そば」の文字を見つけました。
脇に車を乗り入れて建物の前に進むと、そこには既に20弱ほどの人達が開店を待っている。
縁側の軒下でそば屋開くのを待つ夏の日哉、字余り(笑)。
開店時間の11時きっかりに声が掛かって、ぞろぞろと硝子戸の中へ。
縁側の雨戸が引き開けられて明るい店内は、座敷スペースが奥へと長く、意外な収容能力だ。
「山原そば」のメニューは、三品。
「ソーキそば」に「三枚肉そば」、そして「子供そば」。
「子供そば」と称して、おそらく半人前程度のとんぶりが用意されているってのも、温かい感じがするよね。
ひとりで二杯食べたい輩は、「ソーキそば」「三枚肉そば」それぞれにある「小」でいくのがよいかも。
お願いしたのは、「三枚肉そば」。
四方に開くように並べられた三枚肉にかまぼこが二片。
その下のスープは、ちょっと目を瞠る、乙な澄み様。
平打ちの麺は色白で、縮れはほとんどありません。
ズズ、ズズズズzz。
ああ、旨い。
麺がぽそぽそしないのはきっと、茹で置きしないからってこともあるのだろね。
郊外の街道沿いの店ともなれば、どうも野生派なイメージで臨んでしまうきらいがあるのだけど、それはとんだ見当違い。
丁寧に煮出したであろう豚骨としっかりと風味を抱いたカツオ出汁とが絶妙のバランスで溶けあって、真っ直ぐ旨みを伝えてくる。
そこへアクセントを加えてくれたのが、三枚肉。
タレでやや甘めに仕立てた中から脂の甘さがとろんと滲んで、一緒に食むそばと勿論の好相性。
ああ、旨い、と一気喰い。
一方、「ソーキそば」のソーキは三枚肉と同じやや甘の味付けではなくて、端正に仕立てたソーキ。
がしがし齧り付いて食べるのが醍醐味にも思えて、いい。
スープにひたひたかなんかしてから、また、がしがし。
残った骨を脇に避けては、麺をズズズとね。
コーレーグスは控えめに(笑)。
すかっと晴れた夏の空がよく似合う、「山原そば(やんばるそば)」。
30年以上も続いている老舗は、その積み重ねが気負いなく洗練を生んでいる感じ。
「やんばる」とは、本島北部の地域、そして山や森林など自然が多く残っている地域のことを云う。
ヤンバルクイナ、のヤンバルだね。
「山原そば」
沖縄県国頭郡本部町伊豆味70-1
[Map] 0980-47-4552
column/03003