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祇をん・う桶や「う」で 桶横目に鰻丼ふわっと広がる濁りなき旨味
花見小路沿いのお店にはおよそ入ったことがなくって、
それはどうも余りにも観光客相手っぽさが鼻につくからってこともあるのだけど、
すぐその脇の路地へと潜り込みたくなる、そんな性分からかもしれません。
ロジスキーは、極自然な足取りで花見小路から一本裏手の細道へと歩みを進めます。
建仁寺の方から入ってもすぐのあたりで、木板に表した「う~」というよな文字に立ち止まる。
格子のところに提げ掛けられた札には、「京のう舞」とあって、「名代う桶」「鰻丼」と並んでる。
うん、鰻屋さんなのですね。
暖簾を潜ろうとしたら、棒の通しが浅かったか、暖簾がふわっと落ちてきた。
あれあれすいませんと店主が厨房から出てきてくれて、二階へと案内いただきます。
こざっぱりとした座敷の座布団に腰を落ち着けて、お品書きを眺める。
お向かいの卓では丁度、桶が届いてわー、蓋を開いてわーっと小さな喚声が続いてきます。
三人前、四人前、五人前とある「う桶」をいただく訳にいかないのがちょと切ないものの、それを「鰻丼(松)」と張り込んで紛らわせる(笑)ことにしました。
せいの高くないどんぶりに添えたきも吸いの小さな椀に香の物。
端正な情景にも映る卓上に、もう桶のことは忘れて向き合います。
どんぶりに横たわるうなぎの表情は、櫃まぶしのそれとは明らかに違う。関西風の蒸さない鰻のようにも見えないのだけれど、う~むと腕組み考えても仕方がない(笑)ので、早速箸を動かします。
すいっと身を分ける箸の先。
やや硬めが好ましいその下のご飯と一緒に口に運べば、ふわっと広がる濁りなき旨味。
この優しい食べ口は、蒸しを入れているに違いない。
背開きか腹開きかは分からないけど、つまりは江戸前な焼きってことになるのでしょう。どちらかといえばあっさりとしたタレの加減も鰻の旨味を引き出すに専念したかのような加減。
結局山椒なんか振らないで、ぺろんと食べてしまう。
香ばしく焼いた鰻もこうしてふっくら焼いた鰻も、どちらもいいよねと素直にそう思う。
踊り場の上に積まれた桶を眺めつつ階段を降りるとその正面の厨房のところに「今日の鰻は静岡の産」と貼ってある。訊けば浜名湖の産だという。
当たり前のことなのかもしれないけど、産地の明示は信頼感に繋がるね。
西花見小路に見つかる「う」の文字。それが、祇をんのう桶や「う」。豆乳仕立ての「うなべ」ってのも気になります。冷え込む京の夜に、ね。
「う」 京都市東山区祇園西花見小路四条下ル [Map] 075-551-9966
まさぴ。さま。
きゃぁきゃぁ、凄いです,この麻の暖簾のかんじ、情緒たっぷりの路地。。うなぎもきっと絶品なのでしょうね☆
しばし見とれてしまいました。。
Re;lalaさま
まいど、ありがとうございます!
クヤシイけれど(笑)、こんな情緒があちこちに溢れているのがやっぱり京都なのですねー。
仕立ては江戸前でありましたが、なかなかに印象に残るうなぎ。
この瞬間も日本人に生まれてよかった、の瞬間なのでしょねっ☆