目指した焼鳥屋は、
既に椅子をカウンターに上げて掃除を始めていました。
そこで他に具合の良さそうな店はないかと、
その筋を奥へと進んでみる。
”ちろり”。
「銚釐」という文字の上にはルビをふるようにそう記されていました。
朝夕涼しくなってきた頃合に、おでんでもいいかとドアを押して、奥へと伸びるカウンターの手前、おでん鍋を前にするコーナーに腰を下ろします。
先客はなし。
おでんあれこれに、ポン酢でいただく「牛すじ」、「豚キムチ」「きのこのホイル焼き」などで、「鬼火」という芋をいただく。
朴訥として味のありそうな大将も、客日照りに憔悴しているようにも見える。自らがこの日唯一の客だったのではないかと邪推してしまいました。
店名の「銚釐ちろり」とは、お酒を暖めるのに用いる銅・真鍮または錫製の容器を云うそう。
あのお燗用の銅器がそうですね。
「銚釐」 目黒区鷹番3-3-10 03-3713-1321
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