季節料理「小や満」で木挽町の路地にそっと佇む白い暖簾軍鶏親子鍋に軍鶏すき鍋

koyama時折、いや余り間を空けずして徘徊したい木挽町界隈。
今は銀座一丁目で盛業と聞くビストロ「ぺるしぃ」の姿が路面から消えて暫く。
その斜向かいにあったとんかつ「豚児」の前には、この4月末日でも閉店を告げる貼り紙がありました。
さらに驚いたのが、千切りキャベツも美味いとんかつ「にし邑」のお向かいにあった「いとう」の閉店。
「にし邑」のお姉さんにそっと訊ねると、大将が亡くなってしまったのですと…。
ああ、あの「鰯の入荷あります」の文字も繊細にして笑顔を呼ぶ旨さの鰯のフライももう拝めないのですね。

そんな「豚児」と「いとう」のご近所。
マガジンハウスの裏手の狭い路地にも、
ちょこちょこ顔を出している古きお店があるのです。koyama01どら焼きや和菓子の「よしや」の向かいに、
そっと佇む季節料理「小や満」です。

手で払う、右隅だけ丈の短い白い暖簾。
木戸を開けば銀座の片隅にいるとは思えない静寂に包まれる。
少なくともそんな気分になる。koyama02使い込まれた白木のカウンターの一席に腰掛けて、
いま来た路地の気配を窺ってみたりします。

カウンターとガス台とを仕切る建具の設えや、
提灯の表情なんかをぼんやりと眺めます。koyama03「小や満」のおひるの献立は、
「軍鶏すき鍋」か「軍鶏もつ鍋」、
「軍鶏親子鍋」の三本が基本形。

「軍鶏親子鍋」は、
夏でも冬でもチンチンに熱い、
ステンレスの鍋で供される。koyama05刻み海苔のあしらいはあれど、
それは実に朴訥たる佇まいであります。

決して奇をテラうこともなく、
強い味を押し付けることもなく、
淡々とゆっくりと滋味を伝える軍鶏の鍋。koyama06ちょっと不思議な和やかさに安堵するのです。

「軍鶏すき鍋」は、汁なしチック。
ぶつ切りの軍鶏肉がより真っ直ぐに愉しめる感じ。koyama07載せた玉子をそおっと茶碗のご飯の上に載せ返したりするのもお約束。
いつも急いてしまう食事も何故かここでは、
幾分かゆっくりといただけるような気もします。

最近新しく見つけたメニューが「つくねとろろ丼」。koyama08その名の通り、鶏のつくねとおろしたとろろに、
二つ割りした茹で玉子をそのまま盛り合わせた、
飾りなき丼だ。

そう云えば、オヤジさんの姿が見えないなぁと、
壁の食器棚を見遣ると金色に光る腕時計が二つ、
寄り添うように並べ置かれているのが目に留まる。koyama04キリンラガーのラベルが覗く冷蔵庫の上には、
額に収めたオヤジさんの写真が並んでる。
今を営むのは娘さんなのでありましょうか。

木挽町の路地にそっと佇む、
軍鶏鍋と季節料理の店「小や満」。koyama09例えば、新富町の日本料理「松し満」と同じように、
店主の姓をもじり、特に”ま”を”満”と置き換える手法をとった、
そんな屋号のひとつとしても記憶に残りそう。
路地に面して新築なった建物の裏口をふと眺めたら、
そこには「豚児」と小さく認めた表札がありました。

「小や満」
中央区銀座3-12-9 [Map] 03-3543-5068

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