日本橋・京橋エリアから怒涛の勢いで押し寄せる再開発の波は、八丁堀界隈にも到達している。八重洲通りと平成通りが交叉する八丁堀二丁目交差点の角地にあった第一長岡ビルもすっかり解体され、無機質な万能鋼板が敷地を囲む。
再開発を目論む側はきっと、区画全体で新しいビルをおっ建てたかったのであろう。
ところがどっこい、ソレハナンノコト?とばかりに従前からの佇まいのままの建物がそこにある。
そうそれは、今やすっかり日常の光景となった八重洲通り沿いの行列の先頭が立つ処でもあります。
行列が長くありませんようにと祈りつつ(笑)、
八重洲通りの舗道を往く。
日により天候により多少の多寡はあるものの、
11時半にはそれ相応のひとの並びとなっています。
充実の定番品「喜多方らーめん」の煮干や醤油に、
いつの間にか塩味が加わったんだねと、
初めて「塩肉そば」をいただいたのは、17年の10月のこと。
煮干しも醤油も勿論絶品なのだけど、
塩仕立ては七彩のスープの魅力を直裁に堪能できる。
たっぷりチャーシューとの相性も想像以上であります。
今年18年の03月頃の限定だったのが、
「限定 小豆島海の水とクラタペッパーの塩らーめん」。
滋味深い胡椒をフィーチャリングした塩らーめんは、
より輪郭がくっきりしてまた旨い。
KURATA PEPPERを検索すると、
カンボジアの胡椒農園の情報が確認できる。
そんな七彩の塩胡椒らーめんは、数ヶ月後には、
生胡椒グリーンペッパーのせバージョンへと進化したのでありました。
券売機の「気まぐれご飯」をポチとすれば、
「山形のだし」を載せた茶碗飯がいただける。
築地の場外で初めて目にしたことを思い出す「だし」。
ご飯によく合うのは先刻承知の助で御座います(笑)。
この夏の七彩は、再開発ラッシュ以上に怒涛の限定祭り。
7月には、ジビエらーめんシリーズの口火を切って、
「夏のもみじの冷やしらーめん」が登場。
ここで云う”もみじ”とは鹿肉のこと。
トッピングには象徴的に艶っぽい赤身肉。
いつもの喜多方仕立てとは違う、
どこかつるんとした冷たいスープを啜って、
そのすっきりとしつつも深い味わいに思わず目を閉じる(笑)。
いつもの手打ち麺を冷たいスープでいただくのも、
何気に嬉しいのであります。
噛めば青い香りと刺激の弾ける生グリーンペッパーが、
ここでも活躍してくれています。
晩夏の限定の定番と云えば、
その第一弾が「だだちゃ豆の冷やし麺」。
擂り流しただだちゃ豆の滋味がもうそのままいただける。
トッピングのチャーシューがいい合いの手を入れてくれる。
短く切った手打ち麺と一緒に蓮華で啜りたい、
そんな妄想も頭を擡げてきます。
ご飯ものの定番と云えばご存知、「ちゃーしゅー飯」。
どこか芳ばしいチャーシューもズルいけど、
かけ廻したタレがまたズルいんだ(笑)。
続く限定にはもみじの冷やしが進化して、
「夏のもみじの冷やし担々麺」となってしまう。
トッピングにはたっぷりのそぼろ鹿肉に砕いたナッツ系。
辛そうでいて加減の絶妙なラー油にはただただ感心してしまいます。
こうくるんか~。
そして、晩夏限定の定番第二弾が、
ご存知「とうきびの冷やし麺」。
高山の農家さんから届いたというタカネコーンの魅力炸裂!
摺り流しの裏手から麺を引き上げれば、むんずと絡まる。
これぞ大地からの甘さだと思う恵みをたっぷりと味合わせてくれます。
鹿肉によるジビエシリーズの第三弾が、
お待ちかねの「もみじの担々麺」。

冷やし担々麺も洗練された美味であったけれど、
こちらも世の担々麺のいずれにも引けを取らない完成度。
クリーミーさと辛みと芳ばしさの塩梅が素敵。
手打ちぴろぴろ麺が担々スープにもよく似合います。
八丁堀の手打ちらーめん店と云えば、
謂わずと知れた麺や「七彩」。
食材の探求にも怯みなき両雄が、
珠玉の定番喜多方らーめんに飽き足らず、
季節季節の限定らーめんでもまた唸らせる。
行列の長さが気になるものの、
近くにあって良かったと八重洲通りを歩くたびに思います(笑)。
「七彩」
中央区八丁堀2-13-2 [Map] 03-5566-9355
https://shichisai.com/