そしてその流れを汲む「東小金井 甚五郎」はその名の通り東小金井駅南口にある。
東小金井といえば、駅北側方向には、拘り求道系のご自宅手打ちうどん「へそまがり」がある。
ご自宅系といえば、国分寺駅から離れたご自宅うどん処「七」を思い出す。
駅からずっと離れたといえば、地粉らしい麺の色が印象的な高円寺肉汁うどん「夕虹」がある。
そんな風に中央線沿線にも武蔵野うどんのお店が散在しているのです。
久々に降り立ったのは、高円寺駅南口。
パルPALというアーケードを初めて歩いてから脇に抜け、
裏道をきょろきょろしながら南下する(笑)。
渋い居酒屋や小料理屋、はたまたアジアンな印象的な店々がみつかって、
なかなか愉しい界隈なのですね。そんな裏道の一角に浮かぶ提灯に灯が入る。
提灯が示しているのは、そう、”肉汁うどん”。
その先には”武蔵野うどん”の幟がはためいています。
開店早々の店内に忍び入って、
入口脇の券売機の前に立ち、
勿論これだよねと品書き筆頭の「肉汁つけうどん」の券を買う。武骨さを備えたカウンターから厨房を覗くと、
大き目の羽釜がゆらゆらと湯気を上げていました。
ややって、お願いしていた「肉汁つけうどん」の膳が、
カウンター越しに届く。それ相応に時間が掛かるのは、
極太麺を註文を受けてから茹で上げているから。
おウチで食べる武蔵野うどんであると、
茹で置きなら茹で置きなりに美味しくいただけるのですけどね。
手打ちうどんの定番になってきた”はじっ娘”も載った、
太いうどんは当然ながらの茶褐色。埼玉県産の農林61号を数種類ブレンドしているという。
入手の難しくなりつつある農林61号をブレンドしているなんて!
目の前のうどんは、農林61号の全粒粉で打ったが故の表情を、
忌憚なくみせてくれています。
なんだか燻んだ色味で美味しくなさそうだと思うのは早計で、
漂白したような真っ白いうどんよりは断然滋味深いのであります。
お揚げも豚バラ肉もたっぷりのつけ汁がいい。極太が故のぐわぐわっとした歯応え。
すいとんのような、という例えも間違いでない量感もする。
高円寺「夕虹」の麺に近いかな。
もう少し細めの方が粉の旨味をテンポよく味わえるような気もします。
毎度お願いする「肉増量」に加えて、
「きざみ(油揚げ)」や「茄子の素揚げ」といった、
トッピングも用意されている。素揚げした茄子も大好物。
「がっつりのせ」や「いっぱいのせ」は、
茄子をはじめ、どのトッピングにも適用されるものなのかな?
「ダブル汁」を註文すると、先に肉汁でいただいて、
後半は「カレー汁」でいただく流れになる。うどんも「あつもり」や「やわらかめ」が出来るよう。
もしかしたら、最初は「やわらかめ」オーダーがよいかもしれません。
高円寺南口に剛毅な装いの武蔵野うどん専門店「とこ井」がある。木造りの看板の隅に示された「庄司グループ」の「庄司」は、
埼玉は川島町にある本手打ちうどん店「庄司」のことであるらしい。
ぜひ永く続いて欲しいとなぁ思っていたら、
下北沢にも店を開いて盛業中のようですよ。
「とこ井」高円寺本店
杉並区高円寺南4-7-5 久万乃ビル1F [Map] 03-5913-8809
http://udon-tokoi.com/