某SNSの画面を眺めていたら、月島方面歯医者さんの投稿が目に飛び込んできた。
そこにあったのは、麺や「七彩」のラーメンどんぶり。
この5月に東京駅八重洲口地下街の東京ラーメンストリートを晴れて卒業したとは聞いていたものの、その移転新店がなんと、さらに身近な八丁堀に登場するという吉報なのでありました。
その翌日、いそいそと訪れたのは、
平成通りとの交差点近くの八重洲通り沿い。それは嘗て小さな書店があり、
中華居酒屋になり等していた場所。
お邪魔した正式オープンの日取りは、7月7日。
「七彩」だけに、ということなのでありましょう(笑)。
初々しい空気も孕んだ店内に立って、
入口脇にある券売機に正対します。
大きなボタンにはそれぞれ、
「喜多方らーめん(煮干)」「喜多方肉そば(醤油)」、
そして「つけ麺」が示されている。
券売機の上には、
八重洲のお店でも見掛けたような気もする、
「麺や七彩」と題された木版がある。らーめんは、麺を美味しく食べるための料理である。に始まる、
一杯のどんぶりを作り上げることに対する想いが、
率直に語られています。
こちらの基本形と思う、
「喜多方肉そば(醤油)」のチケットをお兄さんに手渡して、
テーブル席にすぐさま変身しそうなスペースで暫しの待機。カウンターの向こうには、
その真ん中に金髪にしてがっしり体躯の御仁がいる。
そう、「七彩」店主、阪田博昭氏その人であります。
入口側のカウンター席の隅に案内されて、
お冷のグラスを傾ける。
その眼前で麺打ち道場が繰り広げられることになるのです。
「七彩」と印字された大袋から、
ステンレスの盥に粉を盛り、適量の水を回す。そして、それ相応の力を籠めて、捏ね纏める。
纏めた生地を軽く手で延ばし、短めの麺棒を添える。要所を押さえ付けるようにして、
ある程度延したら、もう少し長い麺棒を取り出す。
麺棒に巻き付けるようにして、
押して引いて、転がして。さらに長めの麺棒に切り替えて、押して引いて、転がして。
そうして、必要な大きさ厚さになったところで、粉を落とします。
出来上がった生地を麺切りカッターで素早く切れば、
忽ち「七彩」の麺の出来上がり。その後、別のスタッフが手もみをしている光景も見られます。
うどんの場合には、何時間か寝かすのが常だけど、
目の前で展開された麺打ちは、そんな時間も要さない、
一気に出来上がるライブ感がまた愉しくも興味深い。
わくわくの気分ゆえ、
どんぶりが届く所作が恭しく思えてしまう(笑)。いやいや、不機嫌なところに届いても、
俄然気分のアガル光景でありましょう。
澄んだ汁の奥に、どっぷりと深い旨味を含むのが、
見た目でも判るって凄いことじゃないっスか。あああ、なんだか焦ってしまいます(笑)。
箸で持ち上げた麺は、
手もみの縒れもしっかりついた螺旋状。ペロペロというか、ピロッピロというか。
ツルピロというか、ペロムニュというか。
そんな口触り食感と真っ直ぐ伝わる粉の風味が、堪りません。
花弁展開の”肉”はと云えば、どうやら二種類ある模様。喜多方っぽい脂ののった部位のものに対し、
ローストビーフちっくなのは、肩ロースかもも肉あたりのものでしょか。
裏を返して「喜多方らーめん(煮干)」。汁の表面に銀鱗混じりの粉が浮くのがお約束。
じっくり旨い醤油らーめんに、
荒ぶる煮干の旨味風味を手懐けて、
醤油の酸味を挿し色に、
成る程な塩梅に纏め上げています。
ペロムニュ麺は、固めでお願いする手もありそうだと、
打ち方の大きな背中を眺めながら思います。
間を空けずして今度は「つけ麺」にも挑んでみる。つけ汁は、煮干スープをつけ麺用に仕立てた感じ。
麺は、件のライブ手打ち麺のぺロムニュ麺ではなく、
しっかり量感の艶やかストレート麺。“肉”の芳ばしさも愉しみましょう。
僥倖とも云うべき展開で八丁堀にやってきた麺や「七彩」。一体全体、これから何度訪ねてしまうのでしょう(笑)。
そうそう、開店日には、
花輪も贈っていたご近所ラーメン店、
「ど・みそ」幹部Kくんの笑顔があったかと思ったら、
この日にはなんと「ど・みそ」社長もご降臨。
繰り出すどんぶりのタイプはまったく異なるものの、
互いにリスペクトするところがきっとあるのでしょうね。
「七彩」八丁堀店
中央区八丁堀2-13-2 ドミノビル [Map] 03-5566-9355
http://menya-sichisai.seesaa.net/