“ほっこり”とか”はんなり”とかといった形容を安易に当てるのは、何処かその本質を見逃しそうでいけないことかもと、 最近やっと気がついた(笑)。
それでもその独特の空気感に、
思わずそんな形容詞を添えたくなるのが、
例えば、上七軒の広東料理「糸仙」。
北大路の「鳳飛」も独特な雰囲気を持っていたけど、
やっぱり「糸仙」の周辺の艶やかさの残滓と掛け合わさった情緒が印象深い。
そして、春巻の仕立ても酢豚のあんも感慨深い。
そんなことをちらっと想いながら、
三条通り辺りから河原町通りを下がっていました。
と、ひとの横顔を模した丸い看板が目に留まる。
目鼻口の処をよく見ると、それが店名「ハマムラ」を示してる。
おもろいデザインやんけとショーケースを覗き込む。
春巻も勿論ありそうだし、アーケードにすっかり馴染んだ様子もいい。
ちょっと寄り道してみようかな。
もう少しで満席になりそうな店内に、キョロキョロと居場所を探すと、
見兼ねたようにオバさまのご案内。
隅のテーブル席を充てがわれました。
麦酒に海老春巻きに、そうね、酢豚もお願いしましょう。
メニューには、例えば「古老肉(酢豚)」には、”くろよく”、
「焼鰕捲(春巻)」には、”しゅはきん”と読み方が附ってある。
麦酒をチビチビしつつのお待ちかねしてた春巻は、謂わば普通のサイズ。「糸仙」のそれが、舞妓さんのおちょぼ口に合わせて細く小さくしているって噂を思い出して、
ニヤリとしてしまいます。
断面から覗くは、ギッシリの竹の子とその中央に挿した海老の橙色。とろみのあるあんにせず、シャキッとした食感にフォーカスした仕立てと、
カラッとした揚げ焼きっぷりがとてもいい。
麦酒を干したところに、茶碗のご飯と一緒に「古老肉」。敢えてパイナップルを探してしまうワタシをお許しください(笑)。
店名を目鼻口と顔に見立てたアイコンがトレードマークの「ハマムラ」河原町店。京都の中華1号店とされる「ハマムラ」創業者の弟に当たる方が始めたという。
ところが、今度は「走油鶏(鳥あげもののあんかけ)」とか、
「干焼鰕仁(えびのチリソース)」「広東麺」あたりをお願いしたいなぁなどと思っているうちに、
残念ながら店を閉じてしまったらしい。
Webサイトによると、創業大正13年という「ハマムラ」の店舗は、
フードコートや専門店街の4店のみの模様。
そう思うと尚のこと、失ってしまった路面店の魅力を思わずにはいられません。
口 関連記事:
廣東料理「糸仙」で 春花捲古老肉焼売乾焼蝦仁花街上七軒の色香(14年11月)
廣東餐館「鳳飛」で 焼売の慈姑歯触り椒醤酥鶏柿子色鳳舞の系譜(14年12月)
「ハマムラ」河原町店
京都市中京区河原町通三条下ル大黒町58 [Map] 075-221-4072
http://www.hamamura-gr.com/