早稲田実業を横目に北進して、連雀通りを渡った辺り。折れ入ったのは、本多五丁目という住宅地。 このまま真っ直ぐ行くと東京学芸大学を囲むフェンスに突き当たるらしい。 果たしてこんなところに飲食店があるのでしょうか。
元気に茂る木立の前。 どうやらこの辺りらしいと立ち止まる。 不審者よろしくきょろきょろすると、 目の前の住宅にお客さんたちらしきひと影が見え隠れしているのが目に留まる。左手の玄関へと恐る恐る侵攻してみれば、 晴れてお店「七」の表札を見つけるに至りました(笑)。
御免くださいとばかりに玄関に入り込むと、そのすぐ脇に券売機がある。 やや戸惑いながら「肉汁うどん」のボタンをぽちとする。 そのまま空いていそうな席へと向かおうとして、お母さんに呼び止められた。 券売機の並びに置かれたピンクの紙に店内の配置図が書いてある。 その上に食券を置いてから席に着くというのが此処の手順となっているのだ。
網戸越しに庭先を眺めるカウンター。 そこへ「肉汁うどん」が届けられました。まずは想定外の大きさの掻き揚げに一瞬動きが止まります(笑)。
陽射しに明るく照らされてはいるものの、 深手のどんぶりに盛られたうどんはそれなりの地粉色。疑いなき手打ちの表情が、その肌理や縒れから窺えます。
鰹の利いた出汁にやや濃い目の醤油、 そこへばら肉スライス浮かべた正しい肉汁の姿。掻き揚げだけでお腹一杯になっちゃいそうなのが、 嬉しいようなどこか不本意なような(笑)。 所沢「たつみや」名物の”はじッ娘”よろしく、 やや幅広いなところが混じるのも手打ちならでは風情であります。
国分寺の住宅地にご自宅系武蔵野うどん「七(なな)」がこっそりと。武蔵野うどんのお店の出自はそもそもこういうことなんだと思わせてくれる。 家族親類やご近所で寄り合う時に供されていた地粉のうどん。 「七」では満腹のお腹を摩っているところへこう訊いてくれる。 「うどん足りてます?お代わりできますよ」。
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「七」 国分寺市本多5-28-2 [Map] 042-328-1002
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