肩は年中凝ってるので、 マッサージや整体のお世話にもなりたいのだけどなぁと呟きつつ、フロアをひと回り。 アダルトショップの角を折れたところで見つかる、赤と橙のストライプ。 「ポワ」は、全面硝子で中が見通せるので、 喫茶店のフリしたマッサージ店じゃないことは一目瞭然です(笑)。
夜の時間帯というせいか、店内は割とひっそりとしていて、 なぜかふと、今はなき「談話室 滝沢」を思い出す。ソファーの柄も赤と橙のストライプだなぁと眺めつつ視線を起こすと、 向かいの整体店に出入りするひとの姿がよく判ります。
ご注文は勿論、「ナポリタン」。 するとその注文はすぐさま厨房に通って、早々と炒め音が伝わってきました。 ずざざずざ~、ずざざずざ~っ、ずざざずざ~ぁっ。 北京鍋を呷っているようにお聞こえるその音は、 しっかりと万遍なく炒めようとする意気が篭もっているようにも響きます。
届いたお皿の「ナポリタン」は、 耳に届いていた音にまさに符合するかのような端正な炒め具合。過不足のないケチャップがしっかりと全体に巡っていて、 酸味の馴染んだ麺の甘さと炒めの香ばしさが相乗して、いい。旨い。 流石、ナポちんの推奨銘柄だとぶんぶん首を立てに振っての納得です。
新橋の某クリニックでの検診の後、 今度はお昼ちょっと前の「ポワ」に闖入してみました。 窓際のソファーに深く腰を下ろすと、 やっぱりなんだか妙に落ち着くこの空間。
和みつつも、朝飯抜きだった勢いで「ナポリタン!」と叫ぶと、 「すみません、ナポリタンは11時15分からになっているのです、すみません」とおねえさん。 えええ、そうなんだということで、アイス珈琲啜りつつ、その時間の到来を待つ作戦に。 その辺りの店内ルールは厳格に運用されているようで、 11時15分を目掛けるように厨房からあの炒め音が聞こえてきました。 お待ち兼ねの大盛り「ナポリタン」が届きます。 しげしげ見詰める麗しき焼き目。生半可な炒めじゃぁやっぱりイケないよな、そうだそうだとひとりごち。 くるくるとスプーンなしで巻き上げて、またしげしげ。なんだろ、適量のケチャップと塩加減と豪胆かつ繊細な呷り炒めがナポリタンの要諦なのだろうと頷く目線の先には、「整体」の文字(笑)。 粉チーズもタバスコの助けも借りずに一直線に完食です。
間違いなく思い出して食べたくなるナポリタンの佳店、喫茶「ポワ」。「ポアPhowa」というと某反社会的教団が使った言葉が思い出されちゃうけど、 こちらは「ポワPowa」。 どんな意味かと訊ねたなら、「ポワとはフランス語で”豆”のことで、コーヒー豆を意図しつつ、 “コーヒー豆”だと長くなるので、”豆”とした」そう。 あの教団より当店の方が歴史が長いのですよ、とも。 その翻訳が正しいのかどうかはさておいて(笑)、 「ポンヌフ」のどっちゃりナポリタンよりも断然好みのナポリタンでありました。 また、寄りますね。
「ポワ」
港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル2F [Map] 03-3580-3764
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