扉を押し開けると、バックバーにカウンター。 そこに何人ものひと達が立ち呑みカウンターよろしく、グラスを手に並んでいます。 まさに一見バーのようですが、「SPORER」は、1903年創業の酒店なのです。
バックバー、つまりは商品の陳列棚には、同じフォルムの酒瓶が、見るからに強そうな無色透明なものから、茶褐色、黒褐色、といったバラエティーで並んでる。それらが「SPORER」のメインコンテンツ、Schnäpse(シュナップス)、ブランデーたちだ。 そこのあれ!とか、こんなやつ!とかをニコニコ笑顔のおっちゃんに伝えると、 素早くショットグラスに注いで、どぞーと出してくれる。 つまり、カウンターでみんな立ち呑みの図は、みんなであれこれ試飲の図、でもあるのです。 林檎と梨とのものがシュナップスの基本形か。 如何にも強そうな蒸留酒に色んなハーブの香り匂いが利いている。 例えば「ENZIAN」は、高山植物(りんどう科のゲンチアナという植物)の根っこのリキュールということらしい。 「Wacholder」は、ジュニパーベリー、つまりはジンの苦いヤツ。 「HOLLER Brand」は、ニワトコの実を使ったブランデー。 19種類のハーブから作ったという茶褐色の苦い食後酒は、 「SPORER」のハウスミックス「Hausmischung」。 「Kirsch Likör」は、熟したサクランボでつくるリキュールだ。思わず買って帰りたいと、これとこれとそれとあれをBitte!とお願いしてしまいます(笑)。 じゃぁ、みんな試飲しているだけ?と云えば、そうではなくて、 粋なバーとしてグラスの提供もしてくれる。 カウンター一列目が埋まり、背後の樽の前の二列目から声を掛けて、 樽のワインやラムを呑るのもよろし。 日本の酒屋で云うところの”角打ち”だ。 そして、あいよ!ってな感じでとお湯割りにしてくれるのが、 「SPORER」の顔、オリジナルの「Orangen Punsch(オレンジ・プンシュ)」。きりっと寒い冬に、湯気から如何にもオレンジなほの甘い香りがして、気分からも温い感じにしてくれるヤツなのだ。
ゲトライデガッセの銘酒屋&バー、といえば1903年創業の「SPORER」。もしもザルツブルクを訪れたなら、シュナップスは勿論のこと、樽のワインやラムにプンシュの待つ、ザルツブルクの”角打ち”へぜひどうぞ。 ひと懐っこい笑顔も待っています。
「SPORER」 Getreidegasse 39 Salzburg[Map] +43(0662)845431 http://www.sporer.at/
column/03077