もう暫くは当地青森にいるのだろうと思っていた
takapuが、渋々東京に戻ってきました。
振り返ればそれは、雪の師走。
弘前の郷土料理「しまや」や県庁近くの居酒屋「樽」、そして「長尾」をはじめとする煮干しらーめんラインナップに案内してくれたtakapuと一献したいと都内の青森料理のお店を改めて物色してみます。
出来れば、まだtakapuが訪れたことのない青森料理の店が都内にないものか。
西新橋のあの店も小舟町のあの店もそもそもtakapuの守備範囲。
神楽坂のあの店も神田のあの店も、既に訪れているらしい。
かといって、なんちゃってな青森料理の店では、なんだしね。
と、意外と身近なところに真っ直ぐと”青森料理”を掲げる店がありました。
処はご存知、品川区のディープゾーン、大井町。
ディープゾーンの本丸、東小路界隈とはちょっと離れて、
駅東口はきゅりあんの裏手。
ゴルフ練習場に向かって信号を渡り、郵便局の脇を行く。
こんな路地があったのね、と口走りながら進むと、数軒ある飲食店の灯りの中に「青森料理」の文字が見えてきました。
青森料理・割烹「なか村」は、基本、カウンターのお店。
ねぶたの意匠がそここに鏤められています。
カウンターの他に小さめのテーブルがあるだけなので、最大グループ5名さままで。
然らばとそのテーブルをtakapu、
のむのむさん等と囲みました。
ビールで乾杯しつつまず迎えたのが、「温泉豆もやし」。
つまりはご存知、大鰐温泉もやし。
さっと湯掻いたしゃきしゃくの歯触りがいいね。
大きく広げた貝殻形のお皿に配した刺身のラインナップも渋い。
活つぶ貝にその肝、ほっき貝、活水たこ、鰯。
それぞれの貝に含む、澄んだ滋味と食感、磯の香り、
そして水蛸のほの甘さにしみじみ。
女性に人気があります!なんて謳い文句のグラタンちっくな貝のお皿が、
「素焼(もとやき)」の帆立、たこ、いかミックスバージョンだ。
あくまで優しい味わいなのに、
帆立のヒモや烏賊あたりから出た旨みがしっかり滲む。
このままドンブリにのっけて掻っ喰らっちゃってもいいし、
勿論お酒にもいいよなぁ。
ということで、日本酒を所望する。
数ある青森のお酒の中で、一番に思い浮かぶのはやっぱり、「田酒」。
ここ「なか村」でも、メインのお酒は「田酒」、特別純米だ。
つつつーとしながら、「みずおひたし」に箸を伸ばす。
「まるごと青森」には、本名を「ウワバミソウ」という山菜だとあるね。
細手の蕗のような、瑞々しい歯触りが心地いい。
続いて、つつつーとしながら受け取ったお皿には、件の「亀の手」。
爪の根元あたりからぽっきりとして、その中を咥えて齧る。
干物にしてからそれを戻して、旨みが凝縮した貝のような、そんな滋味がする。
うん、亀の手は久し振りだ。
お代わりした「田酒」をふたたび、つつつつーとしていると、
お待ちかね!とばかりに女将さんが届けてくれたのが、「天然ほや」。
しっかりぶつぶつがあるのが天然モノの証なんだよ、と女将さん。
芬々と香る磯の風味にどっぷりと浸る食べ口。
鮮度が落ちればあっという間に濁ってしまいそうな、
だからこそ新鮮さを想わせる、乙な酒肴であります。
「とげくり蟹」ってどんなカニ?ってことでお迎えした蟹は、意外な具沢山。
ほじほじしているそばから身が零れてくる。
むほほほと穿っては、お猪口でつつつと受けて立つ。
もう何事も気にせずお願いしちゃう?
ってことで一同の合意を得ましてお願いしたのが、「にんにく焼」。
ホイル焼きしたコロンと大粒な大蒜の産地は勿論、青森は田子。
田子と書いて「たっこ」と読むんだよ、と偉そうに講釈を垂れてみる(笑)。
焦げ目香ばしく、ほくほくスルンと食べれちゃうね。
またまた「田酒」をつつつつーとしているところへ登場したのは、
大きな爪の持ち主。
takapuが両の爪を持ってうりゃうりゃと弄る、「活しゃこボイル」。
殻を外して身に解すと、小さな玉子を抱えているのが見つかる。
これがカツブシってヤツ?
寿司ダネとしてツメを塗った姿で対面することが多い蝦蛄だけど、こうしてボイルしたままをいただくと、素直な甘さが愉しめていいね。
そして、「田酒」のアテにはぴったりで一番ズルイでしょうの「げそわた焼き」。
まったりと烏賊ワタの滋味旨みを弾けさせつつ、それでいてクドくない。
んんんんーと唸って、また、つつつつつーとお猪口を傾けます。
青森の「じゃっぱ」で思い出すのは、「青森屋台村」の居酒屋「やなせ」。
おろした魚の残り、頭や内臓、あらを出汁にし具にした「じゃっぱ汁」。
ここでもその「じゃっぱ汁」がいただこうというのかというと然にあらず。
出汁のしっかり出た汁の残りまでもさらに上手に平らげちまおうという魂胆の「じゃっぱ煮こごり」だ。
凝縮した旨みがぷるんとした食感でいただけるという面白さに、
またまた「田酒」をつつつ(笑)。
それじゃぁ「じゃっぱ」つながりで〆ますかということで、
「じゃっぱ巻き」。
青森の食材を具にした太巻きなのだけど、捨てちまうような、じゃっぱな具材たちではありません。
大将の津軽弁を聴きながら、酔うほどに。
今まさに当地の片隅で呑んでいるような錯覚に浸らせてくれる、
青森料理・割烹「なか村」。
大将は、青森駅前の古川の出身だそう。
古川市場の仲間が、新鮮で場合によっては入手の難しい青森食材を直送してくれることで実現している「なか村」の青森世界。
今度は、ちょっとシバれる寒い頃にお邪魔して、
燗の「田酒」と青森の酒肴たちで温まりたいなぁ。
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「なか村」
品川区東大井6-5-6
[Map] 03-3450-2498
http://aomori1-web.hp.infoseek.co.jp/
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