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手打ちつけうどん「めんこや」で 肉汁うどんは武蔵野うどん派生形
幡ヶ谷にも武蔵野うどん系統と思われる手打ちうどん店があるという。
新線の階段を上がり甲州街道に佇んで、
首都高の高架を見上げる。
その足元に「カンパイ生ビール30円」とする看板が立て掛けてある。
そのまま右手を振り向いて目を凝らすと、
その先の路上に「手打ちうどん」と書かれた木目の看板が見つかりました。
手打ちつけうどんの店「めんこや」は、云わば、幡ヶ谷の駅上にあるんだ。
円に”め”と書かれた硝子戸に手を掛けると、その右手で麺を打つ姿が目に留まる。
麺打ち場が通りに面して硝子張りになっているお店は少なくないけど、打ってる様子が覗ければ、ほうほうとか云いながら、そのお店に吸い寄せられてしまうこともあるよね(笑)。
おひとりさまは、左手のカウンターへ。
つけ汁に茹で玉子を浮かべた「ぶったまうどん」とか、桜エビ・小エビの天ぷら載せの「エビ汁うどん」、ピリ辛肉味噌を和える「ピリ味噌うどん」「辛肉うどん」などなど、ラインナップはあれこれ。
でもやっぱり、注文むのは「肉汁うどん」大盛りであります。
「桜エビのあげ玉」を追加することもできるけど、それも我慢のデフォルトでいただきたい。
30円のカンパイビールを一気に呑んで待つひと時。
つけ汁に続いて、うどんの器がやってきました。
つけ汁に葱と一緒に浮かんでいるのは、武蔵野うどんお約束の薄切りバラ肉ではなくて、東坡肉のスライスという風情。
10時間煮込んだトロトロ肉、という謳い文句は、まさに煮豚であることを示しているね。
オリジナリティ含みで仕立てたい気持ちは判らなくはないものの、できれば薄切りバラ肉仕様であって欲しい。
ま、そんなこと思うのは極々少数派なのかもしれないけどね。
茹でたてシメたてと思しきうどんは、艶々として美しい純白。太さや捩れからくる躍動感はなかなかも、見た目の表情からは地粉っぽさが窺えません。
つけ汁にトプと浸して一気に啜る。つるつると滑らかに口元を過ぎた後、噛めばムチムチっとした弾力と歯切れ。
讃岐のコシとはまた違う個性ではあるものの、これは武蔵野うどんのキャラともまた違う。
ま、それはそれとして、適度につけ汁を絡ませながら、しなやかに逞しい量感を伝えてくれるあたりがなかなかニクイ。
たまたま運びこまれた粉袋は、日清製粉の「金すずらん」。
その「金すずらん」だけではなくて、他の粉もブレンドしているのかな。
武蔵野うどんから派生して独自世界に及んだ、手打ちつけうどんの店「めんこや」。川越にあるという、元祖武蔵野うどん「めんこや 本店」との関係や如何に。
「めんこや」 渋谷区幡ヶ谷1-2-7 松井ビル1F [Map] 03-3320-4455 http://accele.cool.ne.jp/menkoya/