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BAR「THINK」で 南の島での一期一会とエキストラな一杯と
宮古繁華街の中心かと思われる西里通りのビル二階。
重厚な雰囲気を帯びた扉には、
「BAR THINK 1988」とある。
ゆっくりとその扉を開けると意外とゆったりとしたフロアが広がり、その先にバックバーが控えていて、おふたりのバーテンダーが迎えてくれます。カウンター左隅の止まり木に腰を据えて改めて眺める景色は、
まさにオーセンティックなバーのもの。
バックバーで目に留まったラムのボトルから赤いラベルを選んでみる。「RUM NATION」のVENEZUELAモノ。
ピリピリすることなく円い呑み口とラムらしい風味だ。
柔らかなで洒脱な表情のマスター高田さんは、バーテンダー歴30年にもなるという。
浜松でBAR「THINK」を営み、協会の主幹を務めた後、そのカウンターを任せて宮古に渡り、この店を開けて9年ほどになるのだとか。
いただいた名刺には協会の宮古地区長、とあるね。
二杯目にはモルトをとスペイサイドの「Linkwood 1989」。
Kingsbury社によるNo,73/248ボトル。
三杯目にも同じスペイサイドでオススメをとお願いした中から選んだのが、「Strathisla」25年もの。
ラベルには、STRATHISLA-GLENLIVET DISTIllERYとある。
最初のひと口は、なんだか不思議な癖のある表情が、ふた口め、そしてそれ以降のあと口に甘い芳香が残る。
うーん、面白い。
グラスの横腹をふと眺めたら、20th anniversaryと刻んであって、なるほどBar「THINK」の歴史を語る。
どんな切っ掛けだったか、南麻布の某レストランで食事した時の話になった。
抜栓したワインをスタッフがチェックして顔を曇らせて、「交換しますね」と云いながら奥に戻ろうとするところを制止して、「ブショネなら、飲ませて!」とムリを云って試してみたこと。
そしたらマスター、「そんな話を聞いたら出さない訳にはいきませんねー」と笑って、バックバーに並ぶボトルの裏側から一本のボトルを取り出した。
グラスに少しだけ注いだHighland parkに鼻先を近づけると、籠ったような弱々しい匂いで、口に含むと黴に饐えたような残念な風味がする。
なるほど、ワインにブショネがあるように、
傷んだモルトを仕込んでしまうリスクもバーにはあるのだね。
一期一会の刹那を大切に愉しむ、
そんなお酒でありたいとBAR「THINK」のマスター高田さんは謂う。
気取らず気張らず、軽妙に誠実に、そんな想いが伝わるカウンターでありました。
「THINK」 宮古島市平良字西里231 2F [Map] 0980-73-6009 http://www11.ocn.ne.jp/~barthink/