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カレーの店「ガンジー」で 幾重にも交差する味わいビーフカレー
副都心線の開業で、渋谷や池袋からのアクセスもよくなった新宿三丁目。
久し振りに歩くと、マルイが改装していたり、さくらやのあったビルが工事中だったりしている。
そのさくらやのあった建物の脇の道に気になる一軒がありました。
路地に漂うカレーの匂い。
その先の角は、「とん丼」の「王ろじ」だけれど、どうやらそっち方面からの匂いではない感じ。
立ち止まるは、「やき龍」隣の階段下。
なるほど、二階にあるカレーの店「ガンジー」が漂うカレーの匂いの発信元のようです。
床のPタイルは一部めくれ、傷んでいるところもありますが、清潔に努めている様子は窺え、長く続いているカレーハウスの趣に充分、そんな印象の店内です。
路地に面した両開きの窓に向かうカウンターで、メニュー筆頭の「ビーフカレー」。
カレールーは、真鍮の柄の手鍋に入れられやってきます。
鍋の中身全部をライスに回しかけて、いざ。
甘さに苦いような香ばしさ肉桂を連想する風味、時折ヨギる酸味に全体をググッと支えるうま味に、ひと呼吸遅れてやってくるトゲのない辛さ。
小さめブロック肉の魅力も溶け込んだ深い深い褐色には、幾重もの味わいが交差していき、それが一気にスプーンを動かさせる。ふう~ん、やるじゃん。
ってことで後日、「エビカレー」もいただいた。
「ビーフと同じルーでしょうね?」と尋ねたら、「同じルーからですけど、調理しますので、ちょっと変わります」と云う。
手鍋もライスのお皿も同じ装いで、「エビカレー」がやってきました。
同じようにライスに全部かけちゃって、動かすスプーン。ほ~、確かにおよそ同じながら、海老の甘いような香ばしいような風味で全体がまろやかになってるような気がする。
ここから考えると、「ビーフカレー」は割とキリっとしていたんだと反芻したりする。
「トマトとチーズのカレー」「ミックスカレー」を加えて、メニューに載るカレー4種の「ガンジー」。店名からして如何にもインドカレーのようでいて、欧風な表情のカレーなのだね。
先代がイギリス滞在中に知り合ったインド人に作ってもらったカレーをベースに、日本人の口に合わせたものを引き継いだお味ということらしい。
インド建国の祖と云われるガンジーもイギリス留学経験があるようだけど、そんなあたりが店名の由来なのでしょうか。偉人ガンジーが反西欧のヒトだとすると、その名を冠したカレーのお店が欧風カレーというのも、なんだか妙な感じもしちゃうなぁ。
でも、いつの間にか全品制覇していそうな、そんな気もいたします。
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「ガンジー」 新宿区新宿3-17-21 新三ビル2F 03-3352-8055 [Map]