韓国家庭料理「王豚足家」

ohtonsokuya.jpg五反田西口からすぐの、ちょっと怪しい裏道。テレクラの看板に囲まれるようにしてみつかる看板の文字が「王豚足家」。時折覗き込む度、いつも賑やかなその店内に興味をそそられていたお店です。真ん中のテーブルに案内されて早速、ビール。韓国の売れ筋ビール「Hite」は、すっきりライトな呑み口だ。刻み海苔の付き出しをツマミながらメニューをあれこれ眺めて、まずはやっぱり、店名にもなっている「王豚足」をいただきましょうか。スライスした豚足に添えられるのは、青唐辛子に大蒜、胡麻の葉など。粗く刻んだ青唐辛子も、丸々ひと粒のニンニクもどちらもキケンで大胆な薬味になっている。サンチュと胡麻の葉に包んでオキアミのタレ、アミシオかデンジャン味噌を足して大口開けて。クセのない代わりに味も素っ気ないなと思いつつハグハグ噛んでいるうちに、二個目三個目に手が伸びる。胡麻の葉の香りってのもいいね。そして、韓国特製餃子と書かれた3種類の餃子から「キムチマンドゥ」を焼き餃子で。合挽肉、キムチ、春雨、野菜を具にした餃子は、よく練ったアンがどこかクリーミーですらあって、しかもキムチの風味だという、今までにない不思議な美味しさだ。それじゃチヂミはどれにしようかなと8種類の中から選んでみた「パジョン」は、魚介入りのネギチヂミ。ゲソなんかを織り込んだ生地には、玉子も含んでふっくらとろっとしていて、パリッと薄手のチヂミとは違うタイプ。トッピングの焦げた葱が甘く誘い、周囲の縁はそれなりに香ばしい歯触りを残してくれる。こういう贅沢なチヂミもいいね~。隣で焼き始めた肉の匂いに鼻をひくひくさせながらも、最後に鍋をいただいてみる。純豆腐鍋「スンドゥブチゲ」。潜む豆腐の間に蛤の貝殻が顔を覗かせ、韮の緑が挿し色に利いた鮮やかな鍋。既にしっかり出汁のでていそうなスープが少し白濁しているのが分かる。ふつふつ、ふつふつ。注いであった辛味が全体に廻って赤い鍋にはなるけれど、辛さが不思議に甘い辛さで、豆腐の優しさや玉子のちょっとしたコクが出汁味に溶け込んでいる。旨いね、この鍋。最後ご飯が欲しいねぇなんか云いながらふと隣をみると、テーブルを総勢で囲んで大蒜を剥き始めている。「明日、キムチ、作るんだよ~」という。なんだかほのぼのしてしまうのね。家庭的ながら、一品一品のニクイ仕立てが魅力の「王豚足家」。予約するのが安心なようです。 「王豚足家」 品川区西五反田1-4-2 03-3495-0014
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