手打拉麺「季織亭」

kioritei.jpgどうもこのお店に関しては実に間が悪くて、不定期の休業にぶち当たること3度。そして何故かどちらも雨降りの夜。4度目の正直となったこの日も経堂すずらん通りには冷たい雨が降っていました。ホッ、やってるやってる。営業を確認してから足を運んだので当たり前だけど、過去の落胆が脳裏を過ぎって、灯りの点るファサードを見るだけで安堵してしまうのです。意外にも先客はなし。テーブルの隅に腰掛けて品書きを眺めます。ちょっと身体も冷えたしとつけ麺を視野から外し、素直にメニュー筆頭の「特選季織拉麺 醤油」をお願いすることとします。いつものようにスープをひと口。おりょりょ。今までに味わったことのないあっさり加減に愕きつつ、ふた口めを啜ると、おほぉ、ニクイほどに複雑で奥行きのあるスープの滋味がひたひたと伝わってくるじゃんか。麺はというと、全体に透明感を伴い、如何にも手打ちから繰り出されそうな噛み応えと口元の滑り心地が、いい。粉の風味をしっかり残したパスタのようなこの麺と贅沢に出汁をひいた甘汁のようなスープの和風な組み合わせにふと、蕎麦饂飩を想起させる吉祥寺「一二三」を思い出した。ふくよかなのにくどさがない、優しい味わいにすっかり完食完飲です。こうしてみると「特選つけ麺」以下、「九条ねぎ拉麺」や限定の「香辣油つけ麺」「軍鶏拉麺」、それってほとんど蕎麦じゃんの「麦そば鴨汁つけ麺」などを端から食べてみたくなるな。冬の「ゆず醤油拉麺」、夏の「冷やし麺」も気になる。困った。 「季織亭」 世田谷区経堂2-5-14 03-5477-2029 http://blog.goo.ne.jp/kioritei/
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