column/02124
炭火焼き 大山鶏「しづ春」
オジサンちょっとひとり酒モード(笑)。中延からスキップロードを漫ろ歩いてみたもののやっぱり気の利いた面構えのお店が見つからず、荏原中延に着いてしまった。「多賀野」の列に並んでラーメンか、と思いながらふとその反対側の路地を覗くと、ポツポツと赤提灯が見えた。んん?と歩みを進めるとそこは、うらびれたスナックの類が細い通路の両脇に散在しているのでありました。へー、こんな一角があったのね~、と思いながらあたりを徘徊して目に留まったのがこちら「しづ春」です。周囲のお店と違った新しい設えで、入り易そう。先客女性おふたりの座ったカウンターの向こうで迎えてくれたのは、如何にも和食の厨房が似合いそうな店主。訊けば、新橋キムラヤ近くのお店出身だそう。ひとまず「レバ刺し」を塩ごま油でいただき、芋「大海 特撰黒麹」を舐めつつ、焼き物「ぼんちり」「軟骨」「つくね(カレー)」「ペコ玉葱」を。塩の強過ぎる焼鳥に出くわすことも少なくないけど、なかなかに塩梅のいい串たちだ。お品書きの焼き物の項の最後に見掛けないフレーズがある。「金針菜きんしんさい」というのは、百合の蕾のことだという。早速いただくと、なるほど繊細なグリーンアスパラのような風味がして面白い。さらに「笹身わさび」「つくね(ガーリック)」を。甘辛いタレのかかったジューシーなつくねも悪くないけれど、こういう風に端正なつくねの焼き立てをハフハフするのも嬉しい瞬間だ。〆にと「雑炊」。出汁味充分をこれまたハフハフと。ああ、徘徊して良かった(笑)、そんな夜でありました。
「しづ春」 品川区中延2-8-5 03-3784-1760