半個室風なコーナーの1席に案内されました。 何かが突出することのない、シンプルに落ち着いた構成の店内。 予約のお客さまは廉価なAコースは選べないため、必然的にコースBのご注文となりました。 北と南の違った風味のオリーブオイルでパンを齧りつしているところへやってきたのが「お豆の香りいっぱいのクレーマディソーゾ 北寄貝と木の芽添え」。豆の、柔らかな緑のソースをスプーンで掬うと、意外な粘性があって、そのプチまったりに北寄貝の千切りが輪郭を添えてくる。 訊けば、お米のでんぷん質を活かしているんだそう。 続く透明なプレートには、 「フレッシュサーモンとおいしいトマトの冷たいサラダ仕立て、イクラ添え」が載る。フルーツトマトのスライスの上に艶やかなサーモンの身が重なっていて、それをさらに妖艶にしている透明なジュレやシャーベット、そして小さなトマトとイクラが飾る。 全体をほんのりと包んだドレッシングソースとすっきりとしたトマトの甘さがフレッシュなサーモンの身とよく合う。 パスタはというと、「バヴェッティーネ、グリーンアスパラガスいっぱいのカルボナーラ」。パンチェッタとアスパラを具材に、少し横長長方形の断面をしたパスタ、バヴェッティーネを使ったカルボナーラだ。 メインの位置には長文メニュー、「牛ホホ肉と赤ワインのとってもやわらかな煮込み ブラッサート、オレンジ風味の金時にんじんのピュレといろとりどりのお野菜とともに」。ホントにナイフなんていらない、ほろほろと柔らかい赤ワイン煮。 ぺろりと食べれてしまうんだ。 こうして要所に京に縁の素材を織り込むところが、クヤシクもやっぱりニクイところなのでしょう。 全体には、決してクドさに至らないようにする仕立てと繊細な完成度の印象が残る。 はんなり、とまで云うと云い過ぎだけど、イタリアン、フレンチの手法と形式で和食を創造しているような、下地にそんな志向があるようにも思えてくる。 ドルチェもすっきりとしたほの甘さ。なるほどね~。
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