初夏を思わせる陽射しの中、立ち喰いだけれど十割そばが安くお腹いっぱいいただけるという「京橋 恵み屋」さんまでノンビリ歩いてみました。
こじんまりとした店内は、既に近くのサラリーマンたちで賑わい始めています。
奥のカウンターで「恵み、大盛りで、おろしつけて」とオーダーを入れました。
そのさらに奥を覗くと、沸き立つ湯へ向けてむにょ~んとそばらしき麺が押し出されている様子が映る。
なるほど、そういうツクリになってるのね。
つまりは、”そば切り”ではないんだね。
そうすると、捏ねたりくくったりというところも機械化できているのかなぁとぼんやり思う。
ほとんど待つ間もなく「お待たせしました~」と届いた笊にはこんもりと堆くそばが盛られています。
うわ、さすが話題のボリュームだ。
その山に突き刺すように箸を入れ、辛汁に浸して啜る。
意外に滑らかなで喉越しのいいそばだ。
押し出される時に肌が荒れたようになりそうなもんだけどね。
「さらしな」「だったん」は不明ながら、「恵みもり」は繊細な細打ちのそれではなく、田舎の系統の断面を見せるもの。
手打ちで十割をつなぐというのは、そうとう至難の業らしいのに、機械がそれを容易にしたということなのでしょうか。
なにか秘密がありそうな気もする。
辛汁は、かつおの香る軽めのもの。後半戦になってから大根おろしを投入して変化をつけたけれど、それでもどこか飽きてきてしまう。
時には旨いそばをお腹いっぱい食べたいものだと願望することがよくある。でも実際にやってみると、なにか切ないような虚しいような気分になるのは何故だろう。
「京橋 恵み屋」 中央区京橋3-4-3 03-3272-8616
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