鰻が食べたいと思って閃いたのが、「ひょうたん屋」の6丁目の方のお店。”蒸さない鰻”に開眼させてくれた1丁目の兄弟店だ。佇まいそのものは本丸の風情には敵いませんが、おのずから期待してしまいます。L字のカウンターの右隅へ。焼き台が真っ直ぐ覗ける好位置なんだ。「うな丼」を。足元から串に刺されたうなぎを炭の熾きている焼き台の上にすっと載せて、大ぶりの団扇でハタハタと扇ぎます。ハタハタ、であって、バタバタでもソヨソヨでもない。ちょっと遠くの方からハタハタと空気を送っている。そんなちょっとした所作がなかなかオイシイ。下焼きなんかしていない鰻が次第に白みを増してきて、所々に薄っすら焦げめをつけ始めると、2度3度とタレに潜らせ、そして置き位置を右左に入れ替えたりしながらさらに裏表が焼き上げられていきます。そして、串を抜き、一旦フタで閉じられたどんぶりがカウンターに面した小窓から届けられます。どんぶりのフタって、この儀式のためにあるような気がしてくる。パカっとして、表情を窺う。ああ、うまそうだcolumn/01833

