築地 すし処「一力」

ichiriki.jpg京橋郵便局の左手を入った通り沿いに、場内の「仲家」「大江戸」ばりに店頭に大きなメニュー写真を掲げている店がありました。「大間まぐろ」の文字が躍っているんだ。その前を通る度に、そのうち行ってみようと目論んでいたのです。改めて店頭の写真で目星をつけてからガラリと引き戸を引くと、店内はガランとして先客なし。もう正午近いのに営業開始前かと一瞬たじろぐと、「いやいや今日は出足が遅くって!」とカウンター内の大将。「チケット、買った?」。もう一度外へ出てから券売機で目星のメニューを探すも、ボタンに該当がない。再び店内で、ランチメニュー以外のボタンにないものはできないのか訊くと「できるよ!」。ということで、「大間まぐろ 赤身にぎり」一人前1,000円をお願いしました。ちなみに中トロと赤身半々10貫で2,000円、大トロは3,000円となっている。「脂のあるほうが、いい?」と大将。ぶんぶんと縦に首を振ると、「特別サービスしちゃうからぁ」。あ、いや、そのケはないです(汗)。しばらくしてテーブルを埋めた客たちにも、「ここの米は皇室御用達クラスのお米で、鴨川の知人が送ってくれているんだ」とか「あんた、カミサンいるんか」とか、いろんなことを、言わば馴れ馴れしい口調で話し掛けてくる。手元が疎かにならないか心配ではあるけど、ひとなつっこさ満面の表情の憎めないキャラの大将だ。ホールのおっちゃんがボケボケなので、大将があれこれ気配りしちゃう状況なのね。早速オーダーが違ってたりする。カウンター越しにやっとこにぎりがとどきました。赤身6貫に大トロに近い脂のノリの中トロが4貫。赤身にちょっとたっぷりめに醤油をつけていただく。ん~、赤身の水っぽさが先にたってしまい、しかもシャリがねちゃつく感じがする。解凍や熟成にはそれ相応の巧拙があるのだろうなとぼんやり考えながら、大将がサービスしてくれたトロの方をいただく。おかげで救われた気分にはなったものの、無造作なにぎり口が気にはなる。まぁ、1,000円なのにトロ4貫もつけてもらって文句云つもりもないのですけど…。大将自らが仕事に集中できる環境があれば、大将のサービス精神旺盛なキャラがより活きてくるのでは、とそう思います。 「一力」 中央区築地4-4-14ラフィネ東銀座 03-3543-7078
column/01821