クラブ「ロマン」

roman.jpg関内は入船通り沿い。古の重さある扉を開くと、どこか銀座界隈の老舗クラブに紛れ込んでしまったかのような雰囲気に包まれます。ほとんどの壁が飾りを施した茶褐色の化粧板で仕立てられた内装が、店全体にアンチークな印象を与えています。30余年を数えるという店の比較的当初から在籍していらしい妙齢の女性おふたりに応対いただく。長年の顔馴染であるところの御仁は、「ますますババアになったなぁ」と親しみ深き挨拶を交わす。一方の初めて拝謁する身としては、同調して「ババア」などと口にして殴らても具合が悪い(笑)。ところがその実、百戦錬磨な表情もなく、ギラギラした軽薄さも勿論ない余分な肩の力の抜けた自然体の接客が意外に心地いい。和装で登場した能管を嗜むという若手は、小西真奈美と大竹しのぶを足して2で割ったようなルックスと声色。能はもとより歌舞伎すら観たことがないので、そんな世界の端っこに触れるのも面白い。雰囲気をそのままに店も客も上手に世代を移していく、なんてなかなか困難なことなのだろうけれど、だからこそこんな店が廃れず変わらずそこにあるとしたら、それはそれでちょっと素敵なことなのかもしれないね。 「ロマン」 045-662-2805
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