column/01657
とんかつ名代「金好」
縄暖簾の手前に「季節 かきフライ」と筆書きされた札が誘うように風に揺れてる。引き戸の中は満席で、暫しお店中央の丸椅子にちょこんと座って空席を待つ。年季の入った白木のカウンターは懐が浅くて、膝小僧が幕板に当たるので大股を開いた少し妙な大勢で食事に向かうことになります。遮るものなくオープンな厨房では、次々と揚げ物が油から引き揚げられては、サクサクと包丁が下ろされています。「かきフライ」のお皿が届く。業界のお約束なのか、やっぱり5つのフライが並んでいます。醤油を垂らしてから歯を立てると、ガリっに近いカリカリっというクリスピーな食感のあとに、牡蠣の身に辿り着きます。すわ、口の中を火傷するかと思うと、中の牡蠣の身の水分はおよそ飛んでしまっていて、零れるジュースで火傷するような事態にはならない。う~む。けっして不味くはないけれど、とんかつを揚げるように牡蠣を揚げるとこうなるんだ、というのを確認したような心持ちに相成りました。好みの問題かもしれないけれど、飛んだ水分といっしょに旨味も失っているような印象です。厨房の兄ちゃんは金城武似のなかなかのイケメン。兄ちゃん目当てのOL客がいそうな気がするな。
「金好」 中央区京橋1-4-10 03-3281-1478