いつもお世話になっている旗の台商店街の定食屋さん「あらき」。
その「あらき」の隣にあるのが、
今宵の目的地、とんかつ「いずみ」です。
ちょうど、酒魚菜「三友」のお向かいになるね。
初めてじゃないのに、やっぱりどことなく入り難い空気を感じつつ暖簾を潜ると、以前いらしたおばあちゃんが同じテーブルに今日もいる。
ほぼ毎日、ここで夕食を摂られているのかもしれません。
とんかつのお店であるらしいのですけれど、こちらのとんかつはまだ知らない。
なのに今夜も、前回と同じく牡蠣の料理をいただこうという魂胆なのです。
生ビールの小さい方をお願いして、
まずは卓上にあった大皿の煮つけた鰯をいただく。
やりいかの刺身をぺろんと平らげたところで、黒板に書かれた「カキのバター焼き」をと女将さんに声を掛けると、そのまま奥の厨房へと注文を通してくれます。
すると、厨房から「そんなンどこに書いてある!」とまる聞こえの声。
女将さんが「黒板に書いてありますよ」と至って冷静に応答すると、
無言になる厨房。
いけないオーダーだったのでしょうか、すいません(苦笑)。
でも、隙間から覗く厨房で、牡蠣の剥き身に粉を絡ませる様子がすぐ見れたので、安心してビールのグラスを干しましょう。
やや強面で、お愛想が苦手そうな大将が「どぞ」と「カキのバター焼き」のお皿を手渡してくれる。
お皿には、檸檬のスライスを下敷きにして、ぷっくりとした牡蠣が鎮座。
そのひとつをそっと箸に載せるようにして口に運ぶと、まるで鱈の白子でもあるかのようなふっくらとした柔らかさで口解けしていく。
軽やかな甘酢のようなあんも気が利いていて、やっぱり旨い。
以前いただいたお皿と多少表情が違うのも面白く。
繊細さをも思う、揚げ焼き具合に感心しつつ、角ハイボールをいただくのであります。
そしてもう一品の牡蠣料理で食事としましょう。
「石焼カキチゲとご飯をください」。
今度は、石焼き鍋を手にした大将がそのままカウンターを出て、直接チゲを届けてくれました。
「熱いので気をつけて」。
「ども」と会釈をして早速、ふつふつしている赤い汁をレンゲで掬います、真ん中の玉子を解きつつ。
フーフー、ハフハフ、はふはふ。
濃度のある汁は見た目の色相通りになかなか辛い。
その中で泳いでいた牡蠣の身がこれまたぷっくりとしていて、辛さに溺れることなく自らの滋味を発揮してくれています。
フーフー、はふはふ。
辛さと熱さとで忽ち額やこめかみに汗が流れるけど、
気にせずにフーフー、はふはふ。
ご飯がどんどん食べれます(笑)。
チゲの具を大方いただいたところで改めて雑炊にしてもらって、ふたたび石鍋に挑んで、ハフハフ、ふーふー。
は~、満腹至極であります。
額の汗が冷えていくのを感じながら振り返り眺める、
旗の台商店街のとんかつ「いずみ」。
ご主人、今度は必ずとんかつをいただくようにしますので、是非笑顔をみせてくださいね(笑)。
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「いずみ」
品川区旗の台3-11-9
[Map] 03-3785-4824
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