「来福亭」の並び、「シェ・アンドレ」の向かいにある「小春軒」に久し振りのお邪魔です。
目当ては、店頭の品書きにみつけた「かきフライ」の文字。
いざいざと、白くてたっぷりとした暖簾をすっと潜ろうとしたら、何かが頭に引っ掛かった。
へ?と思って慌てて頭を上げると、どうやら暖簾の縁が解れて、輪っか状になってるところへ頭を突っ込んでしまったらしい。
恥ずかし混じりに改めて眺める暖簾。
そんな古いものではないだろうけど、数箇所見つかる継ぎ接ぎと半円を連ねた縁取りのデザインに、老舗の味わいを思ったりもします。
相席のテーブルへと手招きしてくれたおばちゃんに「カキフライ」をとお願いして、待つこと暫し。
届く簡潔なるお皿には、キャベツの千切りにポテトサラダにお約束の5片のフライ。
さっと檸檬を絞って、カプッと齧れば牡蠣の汁がひゃっと迸って、火傷の予感。
そのリスクと引き換えの、一瞬の旨味の迸りはマゾヒステックな歓びにも似て(?)。
これをズルイと云わずしてなんと云おう。
賽の目に刻んだ野菜が朗らかな「カツ丼」も人気という「小春軒」の創業は、明治四十五年。
「小春軒」の名は、創業した小島種三郎さんの奥様が”春”さんという名だったこと由来しているそう。
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