いわき駅周辺の街中におりました。
いわき市が何処にあるかというとそれは、福島県浜通りの南側。
太平洋に面していて、県内で最大の面積があり、中核市に指定されているらしい。
郡山から行こうとしたらJRの磐越東線にちょうどいい電車がなくて、高速バスの方が便利なのだと知る。
初めて訪れたいわきの街は、意外と大きなものでした。
荷物を降ろしてから早速、
街中を徘徊しようとホテルを抜け出ます。
偶々ホテルの窓から見えていて目星を付けていた、
地魚料理「旬」へと足を向ける。
ところがどうやら人気の店らしく、
ほとんど予約で満席でと謝られてしまう。
席がないと知ると益々、後ろ髪が引かれるもので(笑)。
そのすぐ近くには、
復興飲食店街”夜明け市場”という看板を掲げた、
ひと筋の横丁がある。10数軒の飲食店が並ぶ横丁の脇にある、
和楽「魚菜亭」に食指が動いて、
えいっと扉を開くも、こちらも満員御礼だ。
界隈にお店が少ない訳ではなくて、
そこそこに飲食店の灯りが点っている。
それでもやっぱり人気店にひとが集まるのは、
世の常でありますね。
すっと今晩の止まり木を得られるものと踏んでいたのは、
意外と甘い考えだったのじゃないかとちょっぴり焦り出し(笑)、
駅正面の磐城街道を渡った西側へも足を伸ばしてみる。
LATOVラトブという再開発ビルの裏手には、
スナックがメインの妖しい路地がある。
ここでも再開発の巨大な建物と、
旧来からの風情ある街並みとが、
微妙に切ないコントラストをみせています。
そこから陸前浜街道方向へ、
裏通りをぷらぷらと南下する。
酒菜「英」という間口の狭い店が気になって突撃するも、
なんとここも満席。
週の始めだと云うのに一体どふゆふことでしょう。
と、やや暗がりにぽっと灯りを点した店がある。
ここには空席がありますように!と祈るような気持ちで(笑)、
苔色の暖簾を払いました。
なんだかほっこり柔らかな空気に包まれつつ、
店内左手のカウンターへと案内いただく。
背後のテーブル席エリアからは、
さわさわとした賑やかさが伝わってきます。
目の前には、でんでんでんと惣菜を載せた大皿が並んでる。暫くしてから気がついたのは、
お店のメンバー全員が女性であること。
店に入った瞬間に感じた空気は、
そんなことにも由来しているのかもしれません。
歩き回った所為もあり、
まずはやっぱり麦酒から。
「大根と角煮と煮玉子」をいただいて、
やっとこひと息つけました(笑)。煮崩れずしてとっぷりと煮汁の沁みた大根が、
期待通りに嬉し美味い。
「目光の唐揚げ」は、
深海の暗がりに明かりを照らしたら、
束になって飛び出してきたような、
そんな盛り付けが面白い。身柔らかく、ほろほろと脂が旨いんだ。
会津の蔵元のものと聞く、
「飛露喜」の純米吟醸をいただいて、
「銀ガレイの煮付け」。ふっくらと柔らかな身をほじほじして、
グラスを傾けキュっと。
カウンターの中で忙しなく動く、
何処か鯔背な気風のお姐さんが、
それでも時折ひと言ふた言、
言葉を投げてくれるのが妙に嬉しい(笑)。
どんな感じかなと想像しながら、
「みそいも」の到着を待つ。醤油のあんで絡めたようにもみえるけど、
齧ればまったりと味噌の風味に包まれる。
うんうん、こんなんも嬉しいお惣菜。
こっち方面の家庭料理なのでありましょか。
食事も済ませてしまおうと、
店の名を冠した「だいこん家茶漬け」。たらこ茶漬けに刻んだ昆布と大葉を添えて。
四角く刻んだ板海苔を浮かべた感じも面白い。
どの女将さんのアイデアなのでしょね(笑)。
いわき駅南側、
磐城街道と陸前浜街道が交差する辺りの裏通りに、
家庭料理の店「だいこん家」がある。「大根と角煮と煮玉子」が、
定番中の定番のお惣菜ではありそうだけど、
大根使った料理がずらっと並んでいる訳では勿論ない。
気取らない家庭の味と、
ほっこりとした店の雰囲気は、
店名にも相通じる温もりでした。
「だいこん家」
いわき市平二町目58-1 [Map] 0246-22-7015