先斗町にあるおばんざいのお店として知られた「ますだ」で、ゆるりとしようと目論見ました。
先斗町沿いの「ようじや」あたりを目印に往くと、頭上に「賀茂鶴 ますだ」の文字。
路地側の入り口を、ここからかな?と覗くように踏み入ると、落ち着いた佇まいの中にカウンターが回っている様子が映ります。
予約の名を告げました。
お通しは、出汁に泳がせた壬生菜。
瓶の麦酒を小グラスでひと息。やっぱり「ぷふぁ~」となるね(笑)。
例によって、カウンターの上に並べられたおばん菜の数々。
まずいただいたのが「鯖きずし」。
一見〆鯖のようでいて、口に運べばしっかりした塩っ気とほんのりした熟れの風味。
「いいね~」と同行者がお代わりを強請るほど。
こりゃ酒だよね、と目の前の樽から汲む「賀茂鶴」。
冷やでいい。
カウンターの中には、女将の束の間の留守を預かる若い女性がおふたり。
決して美人じゃないけれど(ごめん)、掛け合いに屈託がなくって、癒される。
そして、「鴨ロース」が旨い。
薄く均一なスライスが、ひたひたっと出汁に浸っていて、噛めば心地いい歯応えとたっぷり滲み出す旨味エキス。う~ん、いい。
「床ぶし」は、ふっくら柔らか。
硬くならずして、しっかり煮含めてあって、とろっとした印象も残る。
きゅきゅっとお酒のピッチを呷ろうって趣向の酒肴だ。
「ひじき」に「揚げ麩」。
「揚げ麩」は、揚げ物というよりは煮物で、ゆっくりことこと炊いた感じが溢れ出る汁になるほどと窺える。素朴でいて地味でいて。
軽く〆にと、「ずいきあんかけ」。
白いズイキのシャクっとした歯触りが、たっぷりと出汁を含んだ葛あんに包まれている。
なんだか、和んじゃうなぁ。
気の置けないおばんざいのお店「ますだ」。
創業半世紀に及ぶ有名店なのに、観光客スレを思わせない。
先斗町で気張らずゆるりとしたい時のために、憶えておいてもいいお店だと思います。
「ますだ」 京都市中京区先斗町四条上ル 075-221-6816
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