梅の木の絵の掛かる花御殿の一室で目覚めた朝は、やや薄曇りながらもすっきりとしたいい天気。
十分空いた朝のお腹を満たすには、三度メインダイニング「THE FUJIYA」のお世話になる手もあるものの、やはりちょっと路線を変えようと正面玄関に向かいました。
車寄せを離れて到着したのは、ホテルから国道一号線を隔ててお隣にあるところ。格調ある門が構えるのは、知って納得の旧御用邸であるがゆえ。
注連縄・注連飾りを飾ったこじんまりとした玄関先にも凛とした空気が漂っている。大振りな表札だけが真新しく目に映ります。
案内いただいたのは、紅の絨毯の先。左手に伸びる硝子戸の向こうには、落ち着いた佇まいの庭園が薄く雪化粧していました。
この雰囲気なので、朝食は勿論、和のもので(笑)。お正月気分も洩れなく、御膳がテーブル一杯に並びました。
菊をあしらった烏賊そうめんがねっとり甘く旨い。牛蒡や筍の炊き合わせは、実直な美味しさだ。
お重には、炊いた青菜や紅白なますなどの小鉢、そして伊達巻、蒲鉾、搗ち栗・栗金団、昆布巻きなど。鯵の干物の載った角皿には、お多福豆を添えてくれていました。
そして、ご飯には梅色のお粥を選んでみる。ほんのりと香る梅干の上品な酸味風味がさらに食欲を誘って困ります。
決して前夜呑み過ぎてのお粥ではありません(笑)。
ミントの葉鮮やかな水菓子には、キウイやグレープフルーツなぞ。硝子越しの庭園を眺めながら、ほうじ茶のお代わりをゆっくりといただいて、ご馳走さまとふたたび手を合わせます。
旧御用邸の風格を携えてしっとり佇む富士屋ホテル別館「菊華荘」。「菊華荘」は、明治28年(1895年)、明治天皇の内親王、富美宮内親王の避暑のために造営された由緒ある純日本建築の建物と庭園からなる。
高松宮家別邸となった後、昭和21年(1946年)に払い下げを受けたものだそう。
数奇屋風書院造りといわれる建物は、つまりは120年の歴史を刻んでいることになるね。
「菊華」と名付けたのはまさしく、長押などの随所に菊の紋が残されていることによるものだ。
そうそう、席が整うまでの間暫く待っている間に湯上り風の女性客が通り過ぎた。
一日3組限定で別館「菊華荘」に泊まれ、総檜造りの温泉にも浸たれるようです。
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359 富士屋ホテル [Map]
0460-82-2211
http://www.fujiyahotel.jp/restaurant/kikkaso/