
ミラベル宮殿を起点にして進むフランツ・ヨーゼフ通りが、カプチナーベルクKapuzinerbergの丘に突き当たって左に折れると、シャルモーサー・ハウプト通りSchallmooserHauptStraßeと名を変えます。
その通り沿いにあるのが、
今宵の麦酒蔵「Kastners Schenke」だ。
向かって左手のアーチからアプローチ。


木陰となっているパティオにもテーブルが置かれていて、
季節のいい頃の賑わいが目に浮かびます。
そして、店入口から左手に臨むとその中央に赤銅色が鈍く光る仕込み釜が鎮座。

その脇のカウンターで、早速麦酒の注文です。
乾杯をして、くっと呑んだグラスをテーブルに置いて眺めると、
さっき眺めた仕込み釜の図と「s’Guate」の文字。

“s’Guate”というのは、”いいヤツ”、つまりは”よくできた麦酒!”ってな意味らしい。
やっぱり、あの、カリカリが気掛かりになっちゃうのよねーと、
お願いしたのは、シュヴァインスブラーテンSchweinsbraten。
カリカリとホクホクと香ばしいジャガ芋を添えてもらいます。

余分な脂を適度に滴らせて除いた感じの身肉は柔らか。
もしやあっさりしてたりして~と思うソースは、意外にきりっと奥行き深くて、
どんどんと食べさせる。
そして、このお皿のクライマックスはやっぱり、カリカリの縁のところ。
あはは、ははは、笑っちゃうほど旨いのだ。
お代わりのグラスをもらって、それをラードのパテをあてにして傾けたりもして。

ラードは、焼豚を作った時の副産物で、焼豚から滴った脂が冷えてできちゃったもの。
それにしては、なかなかイケる(笑)。
添えてくれているパンは、ビールの残滓を使っているらしい。
ワインのグラス越しにキャンドルの炎を覗んで遊ぶ(笑)。

白のワインを注文いしたのは、これまたやっぱり気になるSpargelをお迎えするためなのだ。
すらっと端正なフォルムのシュパーゲルの上に、
短冊状におろしたパルメザンチーズをたっぷりと横たえて。


どんなグレーターを使っているのかな。
ナイフを入れた白アスパラに、パルメザンを塗しつつ、
ソースパンのオランデーズも勿論添えつつ、口へ運びます。
ああああ、迸る香気と旨みはまさに大地の恵み。
いいなぁ、イケるなぁ、この時季にここに来れたことを感謝しなくちゃだなぁ。

なんでもある日本なら食べれなくはないかもしれないけど、大きさを含め、日本産のホワイトアスパラとは明らかに違うのだ。
こうして、何処へ行っても「Spargel!」と叫ぶことになるのです(笑)。
カストナーの居酒屋にして麦酒蔵、「Kastners Schenke」。




二階建てに越屋根を乗せたような外観なのは、
醸造所ならではのフォルムなのかもしれません。
1998年までは、ホイリゲ(その年の新酒を売るワイン酒場)Heurigenlokalで、
その後自家製ビールを提供する居酒屋へと変遷。
ザルツブルク最小のビール蔵直営居酒屋なのであります。
「Kastners Schenke」
Schallmooser Hauptstraße 27 A-5020 Salzburg
[Map] 0662 / 871 154
http://www.brauhaus-austria.com/skloane/
column/03141