column/02912 @900-
キッチン「ぼらぼら」で ナポリタン独特個性な手打ち自家製麺
ご無沙汰していた、キッチン「ぼらぼら」。
その前を通る度に、店の前でテイクアウトの品を待ちわびる人影がいるのを眺めていました。
改めて見る、コテで化粧した白い壁とパステルな印象の煉瓦で構成するファサードの意匠は、街のパスタ屋さんの風情によく似合っています。メニューには、「カレーライス」2品に続けて、「スパゲッティ」が5つラインアップ。
で、やっぱり目が行くのは、「ナポリタン」。
自家製トマトソース使用と謳っています。
それぞれの席の正面にモレなく茹で玉子がちょんと置かれているのも「ぼらぼら」のお約束。
コンコンと殻をカウンターで叩いて、ツルンと剥いて、塩少々でペロっと平らげて、コールスローが半分ほどになったところへお皿が届きます。
やや細い、という印象の麺をフォークで巻き取るようにすると、ゴムの弾力のような気配をさせながら決して伸びたりしない、不思議な手応えがする。
適当な量の麺を口の中に滑らすと、クニクニとした歯応えとその芯に太いアルデンテの部分を保っているかのような剛性とが併存している、これまた不思議な食感のする。
もうちょっとケチャップ色が濃いのが「ナポリタン」らしいかもなぁと思いつつ、卓上の粉チーズをスプーンでふりふりして、またひと口。
あれ?ずっとこふいふ麺だったかなぁ。
和風かインド風かの「カレースパゲッティ」という手もあるけれど、
「ぼらぼら」の不思議食感の麺を愉しむには、
「タコのペペロンチーノ」や「たらこスパゲッティ」もまた面白い。
もっと茹でたらどうなるのだろうと想像しながら、麺同士がちょっと絡まる、時折みせる焼そばの麺的表情を愛でる感じに啜り、巻き、咀嚼する。
んー、個性だ(笑)。
独特麺の食感が今日も客を呼ぶ、キッチン「ぼらぼら」。ステンレスのトレーの中で布巾に包まれた乾麺は、訊けば、自家製手打ちだという。
いつぞやの小麦高騰が切っ掛けとなって、この麺に辿り着いたらしい。
そっと扱う、その掌に慈しむような優しさを感じました。
「ぼらぼら」 中央区湊1-2-12 [Map] 03-3555-0132 [移転]