すき焼き・しゃぶしゃぶ「モリタ屋」で すき焼き甘い誘惑と赤ワイン

moritaya.jpg京都に古くから続く京都肉のお店があると知ったのは、 丸ビル35Fでのことでした。 摩天楼からの風景を抱いた、唯一の東京進出店で品書き末席のステーキをいただいた時。 四条大宮の通り沿いの暖簾や高瀬川沿いの看板を認めては、ここにあるのだねと思っていました。 今回図らずも、その「モリタ屋」へお邪魔する機会に恵まれてタクシーを降り立ったのは、木屋町通りと三条通りが交わる辺りです。
moritaya01.jpg 京都肉、と書かれた看板を潜って進む石畳。 牛肉屋らしい硝子ケースを左に見ながら、その奥の暖簾の下へ。 靴を預けて、中庭を見下ろすお部屋にご案内。 鴨川の「床」ももう仕舞いになる頃で、その鴨川ビューの部屋はそれなりの人数向けの設えらしい。 部屋の座椅子に収まって、すき焼きにしましょうかと係りのオネエサンに注文を終え、麦酒を手にすると何故か、じゃ社長おひとつどうぞ、なんて洒落のひとつも云いたくなるのは、それだけ社用にも使われそうな雰囲気芬々であるからなのかもしれないね。 前菜で麦酒をやっつけていると、お待ちかねのお肉や野菜などの具材がやってきた。 脂身を焼いて潤いとして、適度なサシに赤が鮮やかな薄切り肉を焼いてくれるオネエサン。 醤油を敷いたところに、結構な量の砂糖を載せる。 そこが割下の関東と違うところだよねーとか、こうする方が”すき焼き”という名に相応しいよねーなどという茶々にも手を動かしながら上手に応えてくれる。 そんなやり取りに手馴れていても嫌味がないのが、老舗の風格か。 とかなんとか考える間もなく、赤かった肉に火が入って、食べ頃のサインを送ってくる。moritaya02.jpgもーいきなり早速、お肉をどうぞと云われるがまま、溶いた玉子にとぷんとして、口へ運ぶ。 数回の咀嚼の後に残るのは、砂糖の甘さか肉の旨味か。 いや、甘さが引き出す肉と脂の滋味と考えるのが幸せか。moritaya03.jpgそりゃもう、旨くないわけないわなぁー、というのが正直な感慨であります。 その甘さや脂がしつこいかというとそうと、そんな印象はなく、つるんと胃の腑に落ちる感じ。 moritaya04.jpgお酒をどうしようというところで、進められたのが「シャトー・モンテュス」。 意外やきっちり冷やしてある赤を口に含むと、ググッと濃いぃボディとタンニンの厚み。 一種圧倒的な肉の旨味や甘みをドライに受け止めて洗い流すようにする。 すると何事もなかったかのように、次のお肉に箸が伸びてしまうという、 悪魔の循環がここにある(笑)。 ま、なにもワインじゃなくて、芋焼酎あたりでもいい気がするけどね。 お肉に感心させたところで、鉄鍋に玉葱や焼き豆腐、しらたき、九条葱、牛蒡のささがきなんかが敷き詰められて、肉から零れ出たエキスをまでをも吸い取ろうとしている。moritaya05.jpgそれらをひと通り平らげたところで、「お肉、追加、しはります?」と訊くオネエサン。 どうせ追加するンでしょ、暗に云われているようでもあるのが口惜しいが、いや結構ですとも応え難い状況が先に立って、再び色の変えていく肉を見詰めることになるのですね。 さらには、「松茸の土瓶蒸し」を啜りながら目を閉じる。moritaya06.jpg五感を鼻先と口元を入口に研ぎ澄まそうとしてしまうのは、何故(笑)。moritaya07.jpg 柚子の香りのアイスと果物のデザートをいただいて、大団円、満腹であります。
和知高原や京丹後市弥栄町に直営の牧場を持っているという「モリタ屋」。moritaya08.jpg明治二年に卸売として創業し、小売そしてすき焼き・しゃぶしゃぶの店を営むようになったという。 コースターや暖簾にあるマークは、牛車だね。 今度は、京都牛の「オイル焼き」なるものも所望したいと思います。 口関連記事:伝統と文化の味・京都肉「モリタ屋」で ステーキ御膳素直な美味(05年04月) 「モリタ屋」木屋町店 京都市中京区木屋町三条上ル上大阪町531 [Map] 075-231-5118 http://www.moritaya-net.com/
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