column/02357
福在此中華食房「福龍」
遅めの夕食を摂ろうと、日本橋近くの堺筋沿いにある四川料理「福龍」へ。店頭の看板には、「陳建民の愛弟子 尹東福が創る創作ラーメン」とある。「四川飯店」で、かの陳建民の薫陶を受けた料理人によるお店のようです。細長いお店の手前右手に厨房があって、その厨房に沿うようにカウンター席があり、奥にテーブルが数卓あるようです。カウンターからみる、一番入口側にいる年嵩の方が尹東福さんでしょうか。「焼餃子」と「福龍」の代表メニューだという「東福担々麺」をお願いしました。薄めの皮がパリッとして、中身はとろんとジューシーな餃子はどこといって遜色のない食味。「奇跡の赤」とショルダーフレーズした「東福担々麺」は、辛さ控えめ。意外なほどあっさりとした円いコクが印象的なスープです。胡麻の風味を訴えているところから「小洞天」っぽい擂り胡麻たっぷしの担々麺を想像しながら啜ったものだから、ほ~そうきたか、というリアクションになったのです。“自家製ゴマ百%のスープ”とあるけど、胡麻を自ら栽培しているとも読めちゃうけど、そゆこと? もったりしたスープにしていないのは、柔らかく滲みてくる酸味の仕立てが効果なのかもしれません。「創作ラーメン」の店とも謳っている通り、「奇跡の赤」に並んで、「黒酸辣麺」を「幻の黒」、「鶏肉白湯麺」を「気品の白」なんて色味にコントラストをつけて、ラインアップにメリハリをつけているのも面白い。四川料理というとどうもトゲトゲしたものが多いと思うところを上手に裏切るようにしているあたりは、四川料理を間口の広いものにしようと努めた尹さんの工夫なのでしょう。裏腹に、本格的な当地志向のひとたちの嗜好からは離れてしまっているのかもしれませんが。
「福龍」 大阪市中央区宗右衛門町1-5 06-6212-6363 http://www.tantanmen.com/fukuryu/