再開発エリアの象徴のひとつ品川港南口にもこんなディープゾーンがあったのですね。
細くくねる路地がタテヨコに。
居酒屋に焼鳥屋に韓国料理屋に台湾エステ…。
時間がスリップして取り残されたかのようでもあります。
「天華」も、そんな”取り残され感”満点の懐かしさ漂う、カウンターのみの中華料理店。
昼どきには近くのサラリーマンたちで賑わうようですが、この夜他に客はなし。
おっちゃんもおばちゃんもせっせと大蒜の薄皮を剥いでいました。
頭上のメニュー札を右左と見てから、やっぱり最初はこれかなの「名物コショウそば」で。
勝手に醤油仕立てのラーメンをイメージしていたら、それは見事に裏切られた。
たっぷりと片栗を使って、ぷるにゅるとさせた塩味スープの下に麺が収まっていて、その上全体にわさわさと胡椒が振りかけられているんだ。
具は多くない。
じゃあ胡椒で相当辛いかというと、そんなこともなくて、日頃からラーメンに胡椒振らなきゃ気がすまないヒトにとってはなんの違和感もないんだろな。
とろんとしたスープに胡椒を塗しつつ麺とともに啜るという感じ。確かにここから胡椒を抜いたら、非常にあっさりとしたひと味足りない淡白などんぶりができあがってしまう。
もしかしたら、かつてあんかけタンメンに胡椒をドカドカ入れるお客さんがいて、どうせならあらかじめそう調味したものにしてみるのも面白いかも…、そんなところから生まれた一品なのかもしれないね。
「天華」 港区港南2-2-8 03-3450-1006
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