居酒屋「一八」で すいとんで〆る裏道民家のカウンターの寛ぎ

ippachi.jpg所沢駅西口から西武の脇を真っ直ぐ抜けて、 旧町の住宅街になった辺り。 その裏道に、前を通る度に気になる民家がありました。 ブロック塀で囲んで、既製の門扉が構える木造二階建ての一軒家。 何気ない住宅地の裏通りの風景をやや特異なものしているのは、そのブロック塀越しに示された「居酒屋 一八」の文字。 昼間しかそこを通る機会がなく、営業しているのか名残りなのかずっと謎のままだったのです。 ippachi11.jpg ネット上の微かな情報を頼りに探るように連絡を入れてみると、「あいよっ」てな調子の大将の声。 「日曜以外はね、だいたいやってるよっ」。 いざ、仲間を連れ立っての探検です(笑)。 忙しなく降る雨の中を進み、暗がりに灯る看板を見定める。 今は、玄関に枯茶色の暖簾が掛かっています。 ガラリと玄関を入るとそこがもう店内。6~7人で一杯のカウンターが大将の舞台だ。 そこへ横並び4名で腰掛け、四方をきょろきょろ。 常連さんらしき女性のひとり客と話し込んでいたのが、女将さんらしい。 入って右手に焼き台があるけど、もう焼き鳥は焼いてないんだとか。 暖簾の真ん中に「鳥」と白抜かれているのも、いまはご愛嬌ってことになるね。 お通しのマカロニサラダで、まず乾杯。 ビールのサーバーは稼働させていなくって、ビールは瓶になる。 素朴なメニューの並ぶホワイトボードippachi02.jpgから、「八戸いか開き」に「鯨竜田揚げ」。 ippachi03.jpgippachi04.jpg 世代に当てはまるヒトには懐かしい給食メニューも、ここでは賽子状に刻んだ鯨肉を揚げている。 そこへペロペロと「自家製梅ロック」。 以前は10数年ものとか古いものがあったけど今はねと大将。呑めばなくなるのは当たり前。 トイレがどこかと尋ねたら、一旦外へ出た脇にあるという。小雨の中小走りです(笑)。 冷蔵ケースに唯一収められていたゴーヤを指さして、「それでなんかできません?オマカセしますので」と訊くと、「ほいきた」ってなノリで、掴み出す。 テフロンのフライパンで作ってくれたのは、素直なメニュー、チャンプルー。ippachi05.jpg 家庭的メニュー「ぴりからなすいため」の後には、インターバルを上手に繋いでくれる溶き玉子のお椀を挟んでくれた。 ippachi06.jpgippachi07.jpgippachi08.jpg 「カキフライ」は冷凍モノだというので、「若どりからあげ」。ちょっと油の温度が高すぎたかな。 その間、「黒霧島」のロックをちびちびぐびちび。 〆にと選んだのが、「すいとん」。ippachi09.jpgアルミの手鍋でことことっと汁の下地を炊いて、女将さんが練った粉を抓まんで入れる。 ふうと和む味わい。 そもそもこういうものだとはいえ、ちょっと芯の残る感じだったので、もう少しゆるく練った生地の方がより美味しくいただけるかもしれません。 ippachi10.jpg「一八」の大将は、マンボウの絵柄がプリントされた和装なシャツに、捻り鉢巻が似合いそうな髪型。額の上のところだけ長く残した髪を「かあちゃんに借りてやるんだ」と金髪に染めている。 ん~、鯔背だねぇ(笑)。 大将の名前からそのまま名づけたという、裏道の民家居酒屋「一八」。 趣味が高じるかたちで自宅を焼鳥屋にしてもう随分経つという。ippachi01.jpg裏手に住むご隠居さんあたりが、一日おきにひょいっと訪れては寛いで、云いたいこと喋ってすっと帰っていく。ふとそんな光景が浮かんだりした。 こんな風に今も営業しているンだと、なんだか長年のもやもやの晴れたような気分です(笑)。 「一八」 所沢市日吉町28-18 04-2922-3819
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