ずっと秘かに不思議に思っていたことがありました。それは、割りと至近に思う日比谷線築地駅と有楽町線新富町駅が接続駅となっていないこと。
築地駅の4番出口と新富町駅の4番出口の距離は、およそ100m。
築地駅開業から17年後の1980年(昭和55年)に有楽町線新富町駅が開業した際に、築地駅を乗り換え可能な接続駅として扱っていても可笑しなことではなかったのではなかったか。
それが、どふいふ事情か、新富町駅の開業以来40年近くも接続駅ではなかったのであります。
2018年(平成30年)3月、人形町駅-水天宮駅と同時に、
築地駅-新富町駅が接続駅となったことが、
小さな話題となった築地一丁目・二丁目界隈のこと。
市場通りの築地三丁目信号から、
「魚竹」「一凛」「新三浦」の方向へと足を向け、
海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」の角をひょいと折れる。
路地らしく道の狭まるところに、
紅地に白抜きの突出看板が目に留まる。
近くを通り掛ればふらっと寄りたくなる、
そんな一軒がそこにあるのです。
此方のランチメニューはずっと前から、
潔くも三種のみのご提供。
此方で麦酒をいただいたことは、まだありません(笑)。
三種のうちのひとつが「盛り合わせ定食」。
シューマイみっつに寄り添うチャーシュウとが主題であります。
如何にもお手製の肉々しい量感の焼売が、
兎にも角にも妙に嬉しい(笑)。
叉焼と書き記すに相応しく思うチャーシュウは、
一般的なラーメン屋のそれとは違うあのタイプだ。
「紅蘭」のスペシャリテは、
1コからサイドオーダーできるので、
「チャーシュウネギラーメン」をいただく際にも勿論、
追加註文を発動する。

ラーメンはと云えば、
如何にも丁寧に煮出した様子の優しいスープ。
タレを控えた、塩らーめんと呼びそうになる仕立てがいい。
水に晒した様子の葱の辛過ぎない香りがいい。
そう、優しい甘さのスープにはこんなストレート麺が似合います。
もうひとつのメニューが「野菜炒め定食」。
厨房の隅でオヤジさんが泰然と鍋を振るって纏め上げた野菜炒めは、
野菜炒めのクセしてどこか優しげで端正でやがる。
そこへシュウマイひとつを添えるは、そう、お約束(笑)。
築地二丁目の路地に中国料理「紅蘭」はある。
寡黙な風情のオヤジさんと柔和な物腰の女将さん。
そして娘さんと思しき快活なる女性とのコンビネーションや良し。
まだ一度も上がったことのない二階席で、
小さな宴会をお願いするのもきっと良案であるに違いない。
「紅蘭」
中央区築地2丁目8-8 [Map] 03-3546-6007

