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Cucina Italiana「La Fenice」で 青森食材の宴いざいざ青森
青森の郷土料理に取り組むうちにとうとう青森に居を移してしまったtakapu。
「津軽料理遺産」に取り組むそのtakapuから「青森県産品試食会あるです」と耳打ちされたのは盛夏の頃だったか。
改めてご案内をいただいて馳せ参じたのが、小舟町にあるイタリアン「La Fenice」。
店頭のスタンドには、「ぐるなびBEST OF MENU 2008」に優勝したとある。
どんな食材のお皿たちと出会えるのか、いざいざ。
今回で二回目になるという試食会の主題は青森食材の「肉」。
なぜに会場がこちらになったかというと、シェフが青森ご出身で、青森食材を取り込んだイタリアンを供しているからだという。
ビールをいただいての前菜その一が「青森県十和田湖ヘライファーム産ダチョウのカルパッチョ、大西ハーブ農園の香草サラダ添え、青森県八戸町産にんにくとバルサミコソース」。すっきりとしてクセのない、すうっとトロケ解れる味わいがいい。
ダチョウの生肉って初めて口にしたのだと思うけど(どこかで食べたかも)、ジビエっぽさ漂うのに、濁ったようなクセはなし。
これなら他のイタリアンで採り入れるところがでてきても不思議じゃないね。
県産の食材を盛り込んでいることが趣旨なので、メニュー名が妙に長くて説明調なのはご容赦いただくとして(笑)。
大西ハーブ農園発の香草として、ルッコラ、山葵水菜や蒲公英なんぞがトッピングされてます。
前菜その二が「純国産バルバリー鴨『銀の鴨』の自家製スモーク サラダ仕立て、真っ黒フルーツにんにくのドレッシング」。
元はフランス鴨の最初のバルバリ種だという『銀の鴨』。
心地よい歯応えの先に滋味~な味わいが広がって、いい。
そして、まさに真っ黒いにんにくを使ったドレッシングが醸す風味がその広がりをそっと煽る(笑)。
ガツッと匂うノリではなくて、柔らかな甘み風味。
そんな品種の大蒜があるのかと思ったら、海洋深層水に漬け込んで長期熟成させた結果黒くなったものなんだそう。
やきとり屋で、真っ黒いニンニクの串焼きってのもちょっと異様でいいかも(笑)。
すっかり焦げちゃった!みたいな(笑)。
パスタその一が、「青森県十三湖産天然『大和しじみ』と初雪茸の七戸町長芋の自家製ニョッキ、阿房宮菊と海鮮キャビア添え」。長いものニョッキってのもありそでなさそなレアアイテム。
滲み出る旨味とほんのり磯風味が魅力の蜆のソースにスルッとムニンとしたニョッキがよく馴染んで、粋な口触り。
十三湖というのは、日本海に接しているのだね。
ちょっと微妙なのがとんぶり?って思った海鮮キャビア。
キャビアンヌと呼ぶアルギン酸を包んだ人工物だという。海産物から抽出したエキスを使っているようだけど、ややイジリ過ぎ感があるもんなぁ(笑)。
パスタその二は、「青森県脇野沢産猪豚の自家製ベーコンを使ったブカティーニ・アマトリチャーナ、パルミジャーノのフォンドゥータソース」。猪と豚を掛け合わせた猪豚猪らに猪を掛け合わせた、つまりは猪寄りのクオーターな猪豚ということらしく、パルミジャーノのまったりソースと相俟って力強い食べ口を供してくれています。
サンジョベーゼの「MONTE BELLO」をクピクピいただきつつ迎えたお皿、メインその一の「青森県産3種ブランド豚『長谷川自然豚』『奥入瀬ガーリックポーク』『南部赤豚』の炭火焼、青森野菜の炭火焼を添えて」。
どちらもダラシない脂の豚ではなくって、肌理のしっかりした、旨味に深みのある豚さんたち。
こんな三種の食べ比べは贅沢かも~。
そし二のメインその2が「青森短角牛『八甲田牛』のタリアータ、赤ワインとジョミ『ガマズミ』のソース、嶽きみと大西ハーブ農園のルーコラ、インカトマト添え」。ご存じ短角牛が魅せる妖艶な紅。
八甲田山麓で育った短角牛で、赤身肉の魅力に目覚めちゃうヒト少なくなさそー。
お皿に敷いたソースも妖しい朱で、意表をつく酸味がする。
ガマズミという実のジュースを使ったソースだそうで、それがスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木に生る赤い山の実の果汁、三戸町の「ジョミ」だ。
ポリフェノールポリフェノールと呟きながらソースを舐めたりして(笑)。
〆にデザート3連発の「青森県産ブルーベリーのレアチーズ」「青森県産『シャイニーアップルジュース』のグラニータ添え」「『緑の一番星』のクレームブリュレ」。
薄緑色をした不思議な玉子から繰り出されたクレームブリュレ。
青い卵を産む南米チリの「アロウカナ」という鳥の品種と茶褐色の卵を産む「ロードアイランドレッド」をかけ合わせて開発された玉子が、「緑の一番星」だという。
見るからに怪しい殻の薄緑色がマジカルであります。
普通に玉子かけご飯もしてみたい感じ(笑)。
グラッパどうです?的に届いたボトルには、イタリアンにあって「大吟醸・吟醸」の文字。
「稲本屋利右衛門」のラベルには、地酒・八甲田おろしの酒粕だけを原料とした粕取り焼酎で、グラッパのように食後酒にどうぞ、とあるんだ。
小舟町の愛らしきトリコローレ、「ラ・フェニーチェ」。種と餌と環境に向き合いつつ、培い育てるというお肉系もハーブや野菜たちも実直に仕立ててくれました。
海のイメージの強かった青森には、地上のそこここにも個性ある食材があるのだね。
やっぱりまずは一度青森へ。
そう思わせてくれた小舟町の夜。
主催の皆さん、ご同席の皆さん、ありがとうございましたー。
「La Fenice」 中央区日本橋小舟町15-17 協栄ビル1F [Map] 03-5651-7023