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新富分室食堂「ビュッフェ」で生姜焼き定食カレーライスに肉豆腐定食昭和の時代

どうして呑み利用をしなかったのだろうとも悔やんだ八丁堀「中華シブヤ」は、鍛冶橋通りが首都高を潜り渡るその脇の楓川弾正橋公園際にあった。
今はもうすっかり看板を外してしまい、その面影はほとんどない。
その「中華シブヤ」のあった建物を背にして鍛冶橋通りの横断歩道を渡り、そのまま立ち喰い蕎麦屋の脇を進むと、右手に首都高の京橋ランプへの案内看板が見えてくる。

その案内看板が目の前に建つ建物は、
ちょうど京橋ジャンクションを背にして建っている。なんだろうと近づいて読んだ壁の銘板には、
首都高速道路新富分室と表示されている。

植え込みの左手に何気なく目を遣ると、
木枠のA看板が立てられている。
そしてそこには、7階の食堂の案内とともに、
一週間分の日替わりメニューが貼り出されているのです。食堂への入館者は、エントランスホール右手にある受付で、
丸いバッジを受け取り、胸に留めるのがお約束。
乗り込んだエレベーターの案内板によると、
首都高速道路株式会社とその保全工事事務所に首都高技術株式会社、
そして警視庁高速道路交通警察隊が入居しているのが判る。

6階でエレベーターを降り、7階へは階段を使う。
理髪店らしき部屋の前を通り過ぎ、奥へと向かう。
硝子に「ビュッフエ」と書いた、
事務室の扉のようなドアの中が目指す食堂だ。

硝子ケースの中を覗き込むと、その日の定食の用意が判る。
うんうん、鯖塩も悪くない、なんてね(笑)。お冷のグラスやお茶を注いだ碗を載せたトレーを手に、
まさにオープンキッチン然とした奥の厨房のところで註文を告げる。
向かって右手が麺類コーナーで、
中央が定食を註文する位置になっているんだ。

その日のメニューにこれがあれば、
まず註文んでしまうのが「生姜焼き定食」でありましょう。生姜の風味はほどほどなれど、
くたっとした玉葱の甘さも手伝って、一気に喰らうことになる。
青シャツの皆さんはどうやら交通警察隊の方々である模様。
高速道上での日々の警邏、ご苦労様であります(笑)。

唐揚げもただそのままではなくて、
ゴロゴロ野菜のあんかけを施すなんて手の入りよう。素ナポやら小鉢やらも添えられて、
これで600円ほどなら実にお安いと云って間違いありません。

硝子ケースの脇の黒板におすすめやご案内が白墨で書かれる。定食や麺類のお値段は決まっていて、
首都高速関係者、警察隊関係者、そして一般と値段が違うのは、
この食堂の趣旨目的に照らして当然のことなのでしょう。

その日のC定食は「みそラーメンとハヤシライスのセット」。味噌ラーメンには豚のバラ肉が大胆に入っていてちょっと驚く。
ラーメンとハヤシライスのセットって、
なかなか珍しい取り合わせですよね(笑)。

食堂の窓から見下ろせるのは、
京橋ジャンクションから大きくカーブした”首都高速道路”環状線が、
“東京高速道路”へと接続する辺り。料金所のゲートに見えるのは、
正確には白魚橋乗継所と呼ばれるもの。
東京高速道路(KK線)は、高速道路ではなく一般自動車道で、
本道路区間内のみであれば無料で通行できる。
銀座の街の外周を囲むように走るルートのその下は、
ご存知、銀座ナイン、銀座コリドー街、
西銀座デパート、銀座インズなどの店舗となっているんだ。

きっと大きな鍋で煮込んだカレーは、
学校給食のそれに同じく素朴に旨い。専門店には勿論及びませんが、
偶には食堂のチャーハンラーメンセットも悪くありません。

とあるお昼には「肉豆腐定食」。豆腐半丁にバラ肉がオン!
ポーチドエッグ状態の玉子がこっそり入っていたりして充実を思う。
小鉢に麻婆豆腐を選んで、豆腐ダブってもいいのです(笑)。

新富町の首都高際に建つ首都高速道路新富分室のその7階。
食堂「ビュッフェ」をご存知でしょうか。一般にも開かれた社員食堂には、昭和の時代が色濃く残る。
1962年(昭和37年)に京橋-芝浦間が開通してから半世紀。
いつの頃からか首都高の維持管理やパトロールを担う人達の、
胃袋を満たし、束の間に疲れを癒す空間となっていたのでしょう。

「ビュッフェ」
中央区新富1-1-3 [Map] 03-3555-0909

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