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鳥「宮川」でいつものから揚げ定食のある景色とお昼メニューあれこれ夜もまた

八丁堀界隈でもっともお世話になった中華料理店が、新川「十八番」。
同じく、八丁堀界隈でもっともお世話になったラーメン店と云えば、麺や「七彩」で、次点が「ど・みそ」八丁堀店。
そして、同じ界隈でもっともお世話になった鳥料理店と云えば、一も二もなく、茅場町「宮川」ということになりましょう。

ランチタイム開店の11時を待たずして、
「宮川」を欲するひと達がいつの間にか集まってきて、
そこそこ長めの行列ができるのが日々の恒例。 桜の時季には、桜通りが華やかになるのを眺めつつ、
席が空くのを待つことになります。

偶には、店先のA看板を前にする、
ポールポジションで開店を待つこともある。 お昼メニューの筆頭が「から揚げ定食」であるのは、
界隈の誰もが納得の、周知の事実であります(^^)。

客の9割が註文すると推定される「から揚げ定食」。 それゆえ、ホールの姐さま方が卓上に用意する器には、
から揚げ用の酸っぱめタレの器も含まれるのが基本型だ。

そして、併せて最初から卓上に置かれた、
お猪口の鳥スープが美味しいのも周知の通り。
熱々のところをふーふーし乍ら、ちびちびと。
でも勿体ぶって残しておく必要はない。
註文の品が届くと同時にお代わりのお猪口が届くのも、
みんなご存じなことであります。

ポールポジションで開店を待つと、
厨房をL字に囲むカウンターの奥に陣取ることになる。 そこからは、から揚げを揚げる工程が見て取れる。
丁寧に下拵えし、仕込んだであろう鳥の身の粉を軽く叩き、
日々使い込んで黒く黒く年季の入った鍋の油へと投入し、
長年の調理から習得し、身に馴染んだ体内時計と、
鳥の身から立ち上る泡の様子あたりから揚げ上がりを判断し、
笊により油殿から引き揚げ、バットに広げる。
その時点でもう、油が滲まずカラっとしているのに感心する。

お待ち兼ねの「から揚げ」がやってくる。 まずは、お皿にたっぷりと添えられた刻み葱をありったけ、
酸っぱいタレの器に投入する。
しばらくすると葱がしんなりとしてくるのだ。
そしてやおらから揚げの身のひとつを箸の先でむんずと掴み、
酸っぱいタレの中へ没入させ、
少ししんなりした葱をその上に載せ、口へ。
カリっとした外郭の歯触りに続いて、
ジューシーな鳥の旨味が炸裂する。
そこへ酸っぱめタレの酸っぱ旨味がグイと後押し。
その瞬間にもう、ほとんどのひとがヤラレるのですね(^^)。

「から揚げ」が食べたいなと思いつつも、
偶にはそれ以外のメニューをオーダーすることもある。
店頭のA看板の順でいけば、
「から揚げ定食」の次が「かしわ丼」。 「から揚げ定食」以外のオーダーをすると、
ホールの姐さん方は、ほんの一瞬の「ほう」という間のあと、
酸っぱめタレの器を回収してくれる。
それほど、「から揚げ」以外のオーダーが意外なのであります。

「かしわ丼」の下に並んでいるのが「やきとり丼」。 レバ、砂肝、ねぎまが一本づつ、
どんぶりを覆うように綺麗に配されてくる。

硝子ケースには、びっしりとそして整然と、
串に刺し、仕込まれた串たちが並ぶ。 23年の暮れあたりからオヤジさんの姿が見えないので、
少々気掛かりにしていたのだけれど、
訊けば、もう焼きからは引退したそう。
でもでも、仕込みには参画しているそうだ。

「やきとり丼」の次の一行が「もつ丼」。 レバ二本に砂肝一本という、より全面茶色の佇まいが、いい。
もっとも呑兵衛にも訴えるどんぶりかもしれません(^^)。

「から揚げ」と並ぶもうひとつの定食が「手羽先定食」だ。 加減よく炙り焼いた皮目の裏側の脂が、旨い。
角皿に手羽先三本が並ぶ様子が美しいではありませんか。

定食では勿論もこと、どんぶりものでも然り。
卓上に予め用意された沢庵を少々、茶碗の隅に載せ、
時々口に運びポリポリするとなんだかいいリズムが生まれる。
そして、ご飯そのものも何気に美味いことに気づいたりします。

すずらん通りのその先と桜通りの交叉点に、
ひるに夜に大人気の鳥「宮川」はある。 また、まだ明るい時間帯の口開けから、
ゆるゆると一杯呑らなければなりません。
そう、近所のご隠居さん宜しく、ね(^^)。

「宮川」
東京都中央区日本橋茅場町3-5-1 [Map]
03-3668-7080

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