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ポークジンジャー専門店「Ginger」で豚バラ生姜かポーク生姜かサワーな夜の顔

西口じゃなくて東口にあるのが池袋西武で、西口にあるのが池袋東武となんだかちぐはぐな気がするのもどこ吹く風(笑)。
そんな池袋の西武口を出て右方向、明治通りを千登世橋方面へと向かい、南池袋一丁目の交叉点を左手にジュンク堂書店池袋本店を見乍ら渡り、そのまま進んだ通りが東(あずま)通り。
ご多分に漏れずチェーン店大資本系の店舗が幅を利かす大都会池袋にあって、多少なりともインディペンデンスな店の姿を見掛けて気になる通りなのです。

ずずずいっと進んで右手が寺院を囲う塀となる辺り。
歩道の頭上に「GRIP PROVISION」と示す
プレート状の小さな突出看板が見つかる。服飾雑貨のお店かしらと思いつつ、
店の正面に廻ると店先に白く大きな暖簾が提げられているのが判る。
暖簾の中央には、豚の顔皮チラガーならぬ、
豚面のアイコンが掲げられています。

覗き込むように暖簾を払うと迎えてくれるのは、
大振りなコの字のカウンターと快活そうな女性陣。
右手の壁沿いには野菜類を主軸とした様々な食材が並んでる。
八百屋さん?と訝るもそれで間違いではないようで、
無農薬・無添加そして無化調の食材庫を併設していて、
勿論のことそれら食材の販売もしているそう。天井を見上げれば、構造材が剥き出しで、
元の建物はなかなか年季の入った木造であることが判る。
訊けば、改装前は理容店、そしてケーキ屋さんであったそうだ。

Gingerちんといえば、それは勿論、
ご存じ「しょうが焼きに恋してる」のあの御仁
何を隠そうこちらはその名の通り、
生姜焼き、ポークジンジャーの専門店なのであります。

然らば早速と「豚バラ生姜焼き」を所望いたします。千切りキャベツと生姜焼きが美しきバランスで皿の上に載る。
おおおお。
生姜の風味がひりっとたっぷりとして、好みの味付け。
奇を衒わず素直に飾らず直球に仕立てるあたりが、
専門店の矜持を漂わせるようで、それもまた嬉しいところ。

カウンターに添えてくれた、
大葉と玉葱のドレッシングがなかなか美味しい。オーガニックな野菜をどうドレッシングに仕立てるか、
きっとあれこれ試行錯誤したのだろうね。

フリーな昼上がりには、マスターズドリームから始めちゃう。そんなゆるっとした午後もあっていいよね(笑)。

マスターズドリームをくぴっと飲み干した後にお迎えしたのは、
「ポークジンジャー」の150gもの。山形の特上ロースと謳う豚肉の厚みや頃合いよし。
ナイフでさくさくっと切り分けて、
上に載せかけられたジンジャーなソースをたっぷりと掬って口へ。
脂のノリが云々というよりは、
しっかりとした繊維質の歯応えの中から旨味がじわじわっと滲んできて、
それが生姜風味たっぷりのソースに引き立てられて倍加する感じ。
周囲をやや焦がし気味しているところもニクい(笑)。
サラダは例のドレッシングでこれまた美味い。

そんなポークジンジャー専門店「Ginger」に宵闇の頃にやって来ると、
なにやら微妙に雰囲気が違うのに気づく筈。
そう、夜の部は「SOUR HOUSE」の暖簾へと掛け換わるのであります。

暖簾越しの外が暗くなると、
カウンターの内側に置かれたおでん鍋が急に目に留まる(笑)。お飲み物はと訊かれれば、それはやっぱり、
どのサワーにいたしますかとの問いに近い。
まずは基本中の基本「搾りたてレモン」から。
甘くない、かといって酸っぱ過ぎないフレッシュな吞み口がいい。
他にも、麦焼酎割の「麦香るレモン」とか、
「生はちみつレモン」に塩漬け果肉の「塩レモン」とか、
レモンの皮ときび砂糖のリキュールによる「レモンチェッロ」と、
レモンサワーにもバラエティに豊む工夫がされているんだ。

この店の酒肴のありように探りを入れるべく「ポテトサラダ2019」。
マッシュの具合も織り交ぜた玉葱の塩梅も好みの路線。
西暦表示を添えているのは、
毎年の進化と研鑽が故のことなのでしょか。醤油とザラメだけで煮込んだという「肉豆腐」は、
西の生まれかポークでなくって牛肉仕様の濃い目の仕立て。
味の沁みた木綿もそそります。

長野産の葡萄をそのまま使うという「巨峰サワー」は勿論ブドウ色(笑)。新定番!と謳うは「欲張り鶏つくね」。
串のつくねを想像していたら然るにあらず。
鶏ハンバーグ状のつくねを箸の先で崩せば、
出汁の利いたツユに解れてズルい感じになるのですな。

今度ウチで真似しちゃおーと思わせるのが、
「キャベツのアンチョビ炒め」だ。
こりゃいいや(笑)。おろし生姜をいただいてやってきたのは、
摺り胡麻をびっしりと纏った「ごま鯖」。
これって、鯖がゴマサバだということじゃなくて、
例の福岡のあれでありますね。

おひる時はGingerなお店なんだもの、
当然あるよねとも思ってニヤリとさせる一杯もある。「日光生姜サワー」のグラスに浮かぶスライス。
日光生姜の日光は、”日光を見ずして結構と言うなかれ”の、
その日光かと思ったら、そうではないと云う。
メニューには、”400年の伝統のある生姜つくり”とあって、
鳥取市気高町の日光集落で特別に栽培される生姜。
集落に今も残る生姜穴で何か月もの間熟成させるらしい。

ちょいと〆てしまおうかなぁなって時には「豚生姜丼」。 茶碗盛りな量感がなんだか嬉しい。
ポークジンジャー専門店のカウンターなら、
夜となっても得意技でありますな(笑)。

少なくとも都内唯一いやいや本国唯一かもとも思しき、
ポークジンジャー専門店を冠するは、その名も「Ginger」。豚バラ生姜焼きかポークジンジャーかは、どうぞ気分次第で。
「SOUR HOUSE」と名を換えた夜の部には、
気の利いた酒肴・惣菜をお供に、
有機無添加な工夫を施したサワーたちを呑りましょう。

「Ginger」
豊島区南池袋2-12-12 [Map] 03-6903-1917
https://grip-ginger.com/

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