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スタンディング「8オンス」で白州18年ハイボール松本城の濠の上時空を越えて

世にニッポンの城めぐりを趣味としている方はきっと沢山いらっしゃる。
趣味とは云わないまでも、そこにお城があるならば、是非一度は訪れようと思うのも人情というものでありましょう。
お城ファンは漏れなく攻め込んでいるであろう城のひとつ、松本市の市街地に佇むは、国宝松本城。
Webサイトでは、松本城は戦国時代の永正年間に造られた深志城が始まりで、現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝の城です。とその概要を紹介しています。

日中に砂利敷きを鳴らして、
おもてなし隊の忍者にちょっかいを出し、
ヒーヒー云い乍ら急な階段を昇り降りするのも一興。
そして一転して、市街地にして森閑とした、
夜の松本城に踏み入るのもいい。酔いを覚ましつつ、散策はゆっくりと。
濠の縁に佇んでしばし、ぼんやりと城の佇まいを眺めます。
ふと時空を超えて往時の時代に吸い込まれそうな、
そんな気が一瞬いたします(笑)。

そんな夜の松本城を離れてのんびり歩き、宿の近くに戻ってくる。
ホテル向かいの角地にあるのが、酒販店の「平出商店」。その左側面の壁には、ハートランドの緑色のボトルが並ぶ。
灯りの点ったスタンド看板が示すは、
スタンディングバー「8オンス」だ。

立ち呑みコーナーとして加減のいい、ミニマムな空間がいい。白州に山崎などなどなど。
注文を受けるカウンターには、
ウイスキーをはじめとするボトルたちがぎっしりと寄り添って、
出番が来るのを待っています。

お願いしたのは、白州18年のハイボール。あの、蒸溜所の空気感や建物の表情、
樽貯蔵庫の様子などを思い出しつつ、
ツツ、ツツツっとグラスを傾けます。

グラスを手にふと、開け放したドアの向こうを眺め遣る。そこは、東門の井戸。
平出商店・8オンスがある辺りはちょうど、松本城の濠の外周にあたり、
三の丸から外へ出る場所で、東門と馬出しがあったという。
いま立って呑んでいる場所も嘗ての濠の上なのかもと思いつき、
また時空が飛びそうな気になるのは、
美味いハイボールの所為でありましょうか(笑)。

松本城の古の濠の上、東門の井戸の向かいに、
スタンディングバー「8オンス」はある。液体の単位として使用される”オンス(ounce、記号:oz)”は、
バーテンダーが用いるメジャーカップなどによる計量でもお馴染み。
平成8年の8の日に開店したから8オンス。
塩見なゆ女史のWebサイトでは、そう紹介している。
酒販店「平出商店」の角打ちが進化したのが、
いまの「8オンス」のカタチなのでしょう。
また松本を訪れる機会があったなら、
近くのホテルを宿としてふたたび定めたい。
宿の近くに止まり木があるって、いいよね。

「8オンス」
松本市大手4丁目10-13[Map]0263-32-0179

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グリル「おおつ」で見栄え麗しきカツカレーよく炒めナポあれば生姜焼きもある

松本へ向かうルートには、新幹線で長野経由という手もあるけれど、乗り換え不要の中央線特急の方がやっぱり便利。
中央線特急と云えば、それはつまりはあずさ号。
そうすると毎度毎度のことながら連鎖的に想起するのは例の唄(笑)。
あずさ号の偶数号は松本駅発の上り列車に割り振られていて、8時ちょうどに新宿駅を発車するあずさ2号はもうないというのは、夙に知られたことで、今のあずさ2号は、松本駅6時半発の列車となっている。
JR東日本におかれましては、上りと下りの割り振りをひっくり返すくらいの洒落があってもいいのになと時々思ったりはいたします。

国宝松本城の城下町として発展した松本の市街地を眺め遣る。穂高岳を始めとした山並みの連なる飛騨山脈などを望む盆地にして、
中央高原型気候の都市部は、冬はしっかり寒いけれど雪は多くなく、
梅雨時でもカラッとして湿度が低く過ごしやすい。
何処か欧州的気候の風土も感じるところです。

そんな松本の市街地を南北に真っ直ぐ貫く道路、平田新橋線は、
北は、本町通り、大名町通りを経て、松本城へと至る。
南は、栄橋で薄川を渡る。
その手前、通り沿いの長野エフエムの入居するビル近くの横道に、
一軒の喫茶・軽食の店があります。

外観は町並みに溶け込んで実に普通なのだけれど、
一歩店内に歩み入ればなかなかの趣に感じ入ることになる。二階へと吹き抜けるように天井が高く、
シーリングファンの向こうで窓から射す明るさが天井を照らす。
ステンドグラスの傘の彩りがいい。

使い込んだウォールナットのような色味の造作にくすんだ壁。
L字にRを描くカウンターのカーブもいい。 腰壁には厚さの違うサブウェイタイルのような設えがあったりする。
気の利いた避暑地の別荘をデザインするように、
そんな意図で設計されたものなのかもしれません。

初めて開いたメニューから選んだのが、
ポークカレーの「カツカレー」。麗しい揚げ色の衣で横たわるカツ。
お皿を覆うように流しかけられたカレーもシズルを誘う。
まずサラダからと思うのにフォークの先は、
カツとカレーとにまっしぐら(笑)。
うん、いい、うまい。

三面鏡仕様のお品書きの一行に「おおつ風スパゲティ」ってのがある。
どれどれと註文してみればそれは、
ナポリタンにカツを載せちゃった豪華版だ。こんもりと盛りがったナポリタンは良く焼き仕立て。
そのこんもりを更に盛り上げるようにカツが載る。
ベシャメル風ホワイトソースとトマトソースとのWソースも面白い。
いやはや満足満腹であります。

別のおひる時にはシンプルに「ナポリタン」。註文すると空かさず厨房の扉の向こうから、
ガコガコガコと鉄鍋の底を五徳にぶつけるような、
リズミカルな音が聞こえてくる。
フライパンなのか、北京鍋なのは判らないけれど、
ナポちんにも聞かせたい心地いい音だ。
やっぱり、ささっとよく炒めたナポリタンは、美味しいいね。

ナポリタンがあれば、生姜焼きもある(笑)。
豚バラ肉による「しょうが焼き」とは趣を異にして、
それは、ポークソテーの佇まい。
Gingerな風味もっとくっきりが好みなるも、
これまたなんとも満足満腹。
サラダには、店オリジナルのオニオンなドレッシングを。
具沢山の熱々味噌汁も嬉しい限りであります。

松本の市街地の一隅に洋食・喫茶の店、グリル「おおつ」がある。どこか愛らしい外観の内側には、
如何にもゆるりとと過ごせる、
落ち着いた避暑地の別荘のような空間がある。
おひる時には、ゆったりと配置したテーブルやカウンターが、
ゆっくりと埋まってゆきます。

「おおつ」
松本市本庄1-12-1[Map] 0263-34-2406

column/03815

御そば打處「野麦」で端正な面持ちのざるの蕎麦五種の具の淡々と旨いかけの蕎麦

中央本線の特急が発着する新宿駅9・10番線ホーム。
あずさ号へと乗り込む外国人の姿を見掛けるのもすっかり定番となりました。
2019年3月のダイヤ改正で、かいじともE353系車輌に統一され、塩山駅、山梨市駅、石和温泉駅を通過することを含めて、松本までの下り列車の平均で6分の所要時間短縮を見込んでいるという。
それに併せて、聞き慣れた「スーパーあずさ」の列車愛称名を廃止したそうだ。

松本駅の驛舎を背にしておよそ真っ直ぐ歩いてゆくと、
何故かその入口に立っていることになる高砂通り。
何時ぞやの蕎麦処「源智のそば」は、
豊かな水の流れに沿う様にゆけば辿り着く。そんな高砂通りを左に折れて離れて、
蔵の在る街並みが粋な雰囲気を醸す中町通りへと向かう。
すると、これまた何時ぞやのカレー店「デリー」が角に見えてくる。

お邪魔したのは、松本で夙に知られた御そば打處「野麦」。食事のメニューは「ざるそば」に「かけそば」。
他には冷酒に燗酒、焼酎のそば湯割などがあるだけという潔さです。

何故だか清らかな水に晒した様子を髣髴とさせる笊の蕎麦。あくまで細い蕎麦切りは不揃いなく端正な面持ち。
箸に載せたそれは、繊細さの中に芯の強さがあるような。

特注品と思しき笊が機能的にして美しい。品書きの隅に記された一文によれば、
戸隠の渡辺さんと仰る方の作であるらしい。

「野麦」初訪問から彼此二年。
ふたたび高砂通りから中町通りへと回り込むように歩く。
蔵の在る中町通りをプチ散策して、
例の「デリー」の店先を眺めて異変に気づく。
ドア硝子の貼紙には、
創業来47年に亘る厚情への感謝の念が綴られていました。

この日は入口脇の入れ込みのテーブルに席を得られた。欲張って「ざるそば」と「かけそば」それぞれ一人前をとお願いすると、
ならば「ざるそば」を先にお出ししますね、とご主人。
早速辛汁の徳利や薬味、
そして切り干し大根の載った小皿が用意されました。

改めて見遣る「ざるそば」は、実に端正な景色出汁のよく利いた決して辛過ぎないつゆに、
素朴な蕎麦の甘さが引き出されるようで、
素直に美味い。

「かけそば」のどんぶりには、五つの具が載る。炙って刻んだお揚げに煮付けた椎茸、
湯通しした菠薐草に海苔、半裁の煮玉子。

甘汁はあくまでも澄んで、それでいて淡々と旨味を湛える。仄甘い滋味や風味、喉越しといった蕎麦そのものの魅力は、
確かに「ざるそば」でこそ味わえるものだけど、
「かけ」の蕎麦の、ちょっとゆるっとした辺りにもまた、
ほっとさせるような別の魅力もあると思うのです。

松本は蔵の在る街中町通り近くに御そば打處「野麦」はある。時に混み合う人気店にあっても、
四人掛けのテーブルが三卓とこじんまりとしているのが、いい。
小さな店内に流れる時間がゆっくりとしていて、
自ずと目の前の笊やどんぶりと素直に向き合うこととなるのです。

「野麦」
松本市中央2-9-11 [Map] 0263-36-3753
http://nomugi.o.oo7.jp/

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