ふぐ旬菜「翠幸」ですきやきハフハフ大人気まぐろ丼手造りハンバーグもいい

八丁堀の鈴らん通りと交叉する裏道のひとつ、通称二八通り。
魚料理「殿長」の跡にできたビストロ「Roven」は最近、ランチの空席を待つ人影が目に留まるようになってきた。
その斜め向かい、この辺りの老舗と云えば、和食・とんかつの「山城屋」。
そしてその並びのビル地階にこっそりとあるのが、ふぐ旬菜・味と酒「翠幸」だ。

おひる時、路上に据えた黒板仕様のA看板では、
夜メニューを覆い隠すようにして、
“寒さに負けない!スイコウのスキヤキ”をアピール。何気なく”八丁堀で30年”とも謳っています。
並びの「山城屋」ほどではないものの、
八丁堀で立派に歴史を刻んできていると云えましょう。

“ふぐ旬菜”と冠するだけあって、
階段の踊り場には鰭が干してあるのが恒例の景色。そう云えば、こちらでひれ酒をいただいたのは何時のことだったろうと、
ちょっと遠い目になったりもいたします(笑)。

厨房の奥に目を遣れば、コンロの上はファイヤー!状態。
牛肉を載せた幾つもの鉄鍋が強い火に炙られています。冬場には特にほとんどのひとが註文するのが翠幸の「すきやき」。
800円とリーズナブルなのも人気の一因となっています。

くつくつと煮えた牛肉から湯気が上がる。過度に霜降りではない肉の煮えばなが、ほろほろとしていい。
割り下の甘さ加減も塩梅やよし。
溶き玉子を絡めていただくズルさをひるからハフハフ堪能するのが、
ちょとした倖せ気分にさせてくれます(笑)。

どうしてもお邪魔する度に「すきやき」と叫んでしまうものの、
「翠幸」のおひるメニューはそれだけでは勿論ない。半端にトロに寄ることなく、端正な鮪の赤身が、
過不足なくどんぶりの頂を飾る「まぐろ丼」。
刻み海苔や摺り胡麻が、何気なくもオツな風味を添えてくれます。

時には気分を代えて、
「手造りハンバーグ」という選択もなかなかどうして悪くない。
右の本格派を思わせるドミグラスソースに意表を突かれる。
みっしりと肉々しいパテは量感たっぷりだ。

おひる時のスキヤキも大人気の「翠幸」は、八丁堀に早30年。偶には夜の部にもお邪魔して、
店名「翠幸」の由来なんかも訊ねてみなくっちゃ。
熱めのひれ酒を啜りながら、ね(笑)。

「翠幸」
中央区八丁堀2-15-6 カガヤビルB1 [Map] 03-3206-0144

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野菜料理とワインの店「binot」で自然派ワインと定番のお皿たちまた遠からず

鎌倉駅は東口の小町通り。
週末ともなれば、ここは竹下通りか!というくらいに混み合う印象がある。
イワタコーヒー店の佇まいを横目で見乍らゆっくりと歩けば、左手頭上にいつぞやの「なると屋+典座」の横顔が窺える。
その先を踏切の方へと左折するとCafé「vivement dimanche」のある辺りだなぁと思ったりする。
小町通りと交差して、若宮大路の段葛へと抜けていく横筋にも沢山の観光客の姿がみられます。

そんな小町通り界隈も、夜の帳が下りて暫くすると、
急速に行き交うひとも疎らに静まってくる。
鎌倉駅からの鳥居を潜って一本目の路地ともなれば、
ひっそりとした暗がりの細道となる。細道が二の鳥居前へと抜けるその手前に「binot」はあります。

滑らかにL字を描くカウンターの左隅辺りに居場所を得て、
「アンヌマリー」というカヴァで口開き。突出看板に描かれているものと同じタッチの図柄が、
サーブされたお皿にも描かれている。
ちょっとしたセンスが何気なく好感を抱かせます。

定番中の定番のひとつと思しき「白インゲン豆とピスタチオのパテ」。
白隠元の柔らかい風味の中にピスタチオが緑の縁を覗かせて、いい。いぶりがっこは、青かびチーズにもとても良く似合うのです。

毎日6種から7種のボトルが用意されている模様。
その中から札幌は藤野ワイナリーの「KOHARU」。
成る程、色味のイメージを裏切らない、
クランベリーやピンクグレープフルーツの風味のするロゼだ。ふと右手の壁に掲げられた小さなキャンバスに、
“満月ワインバー”とあるのが目に留まる。
それは、満月の日に開催する自然派ワインのイベントであるらしい。

別の宵には「ローラン・ルブレ」という地品種ムニュ・ピノの発泡。
熟成感がなんだか嬉しい(笑)。「ニコルの牡蠣」のニコルってなんです?と訊けば、
仙台ののんびり酒場「ニコル」提供の東松島産の牡蠣オイル漬け。
旨味が穏やかに凝集していて、うん、美味しい。
仙台で機会があったら「ニコル」にも寄ってみよう。

ちょうど正面に見据える壁に黒板がふたつあって、
それを右へ左へ視線を迷わせるのもまた愉し(笑)。右手黒板筆頭の「14ヶ月熟成生ハム」もきっと定番中の定番。
ホロホロとしたそれでいてしっとりして優しい塩気が旨味を包む。
「パーラー江古田」のパンを齧りつついただくのもまたオツなものです。

時には日本のワインをと甲州の醸しワイン「金茶色」。
成る程、中国茶のような風味がして面白い。黒板に楕円の囲みを見つけたそれは「イタリア風おでん」。
豚スネに鶏モモにソーセージ、大根にカブ、じゃが芋から選べる。
とろんとしつつも煮崩れないカブがいい。
ストックでじっくり煮込んで沁み沁みにしたって感じでしょうか(笑)。

鎌倉は、小町通りを入って一本目の横筋を右に折れ。
二の鳥居前へと抜ける細道に「binot」はあった。「binot(ビーノ)」とはフランス語で、犂(すき)を意味する。
掘り起こしたり、耕したりする道具を店の名に冠したことになるね。
あったと過去形なのは、
この1月下旬をもってこの場所での営業を終えてしまったから。
元々定期借家での契約だったそうで、契約の更新されなかった模様。
移転を模索しつつの店主阿部さんは、
この2月から週末の鎌倉彫会館一階にて、
binot第二幕をスタートさせたようです。
その様子も覗きたい、また遠からず。

「binot ビーノ」
鎌倉市小町1-5-14 [Map] 0467-50-0449
https://www.facebook.com/Binot.kamakura

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