BISTRO「Roven」で彩り三種のロールキャベツにハンバーグ気になるファサード

それは確か芝の某所からの帰り道。
旧海岸通りがJRなぞの線路を潜る高架の脇から伸びる横丁を往く。
怪しさ満点の印度カレー店「アミン」の前を抜け、高架と第一京浜との間を平行する道の視界が明るく広がろうとする辺りでふと立ち止まる。
それはそこに印象的な佇まいのお店があったからなのでした。

白い格子戸の並びに同じ硝子格子の扉がある。陽射しが格子を通して、
店内一階のカウンター沿いを照らしていました。

BISTRO「Roven」のランチメニューは、
デミグラス、トマト、ホワイトの3種のソースの、
ロールキャベツにハンバーグ、
そしてドライカレーの3種を定番とする構成になっている。それにサラダと時季により日により替わるスープと、
サラダ、パンとがセットになっています。

ちょっと前にいただいた、
デミグラスソースのヤツも良かったけれどと独り言ちつつ、
「ホワイトソースのロールキャベツ」をお願いする。手鍋で再び温められたロールキャベツに、
滑らかなるホワイトソースが丁寧に載せられました。

キャベツの質感をいい按配で残しつつ、
柔らかに煮込んだ加減がいい。フォンを伴った肉汁滲むタネにも旨味たっぷり。
毎日仕込むことが、一日の長に確かに繋がると、
そう思わせる手練を生んでいるように思います。

「デミグラスハンバーグステーキ」は、コロンと俵型。ナイフの刃先で切れ込めば、
閉じ込めた肉汁が割りと品良く零れ出す。
それが肌理の整ったデミグラスと渾然となる。
うん、いいね。

「ローブン」ランチメニューの第三極が、
店の名を冠した「ローブン ドライカレー」。セルクルを使ったにしては自由な盛り付けのライスの上に、
同心円のドライカレーが二層のフォルムを形作る。
ジャガイモと一緒に載せたオクラや人参が彩を添えて。
酸味も程よいカレーがスプーンの先をグイグイ動かさせて、
恥ずかしいほどあっという間に平らげてしまいました(笑)。

第一京浜とJR線路との間の抜ける裏道に、
BISTRO「Roven」のファサードがある。WebサイトによるとBISTRO「Roven」は、
「KABUTOS」という会社が営む鵠沼海岸「カブトスカフェ」の兄弟店。
壁画制作・装飾塗装や空間装飾に関わる企画・デザイン・施工、
グラフィックデザイン・webデザインはもとより、
美術作品の制作・販売までもが事業内容に謳われている。
成る程、店の内外装にみられる拘りも、
そんなデザイン志向の賜物なのでありますね。
昨年(’17年)11月には、
「ローブン」の2号店が横浜・関内にオープンしたようです。

「Roven」
港区芝4-13-11[Map] 03-3452-5110
http://kabutos.jp/roven/

column/03749

TAVERN「POSTSTUBE 1327」でトラウン湖の風光エッゲンベルグとグーラッシュ

カウチなソファーに寝転がって、
“大江戸”がテーマの某国営放送スペシャル番組を観ていた時のこと。
幕末の江戸の様子を撮影した写真がオーストリア国立図書館で発見されたという件がありました。
その写真のネガがびっくりするほど高精細で、江戸の町の風景を実にヴィヴィッドに蘇らせていて、ぐぐっと引き寄せられる。 およそ150年前の日本・江戸でその写真を撮影したのがなんと、オーストリアのバート・アウスゼー出身の写真家だという。

危険を冒して遥々と海を渡り、
往時の”江戸”をカメラに収め、
異国での困難を乗り越えて自国に帰る。
当のネガフィルムたちが、
バート・アウスゼーのカンマ―ホフ博物館に所蔵されていると、
番組は紹介していたのです。

そーなのか!
ネガを実際に拝見できるか分からないけれど、
その博物館目掛けて出掛けるのも一興だということで、
ザルツブルク中央駅に向かう。
ところが、余裕かましてコーヒーなんぞを買っているうちに、
予定していた列車に乗り損なう(笑)。

一本後の列車に乗り込んだものの、
オフシーズンの博物館は午後は閉館してしまうため、
間に合わないと知る。

然らばと途中下車したのが、
当然のように無人駅のTraunkirchen Ort Bahnhofでありました。降り立ったホームからすぐ、
大きな湖が見下ろせる。
湖の名は、トラウン湖Traunsee。
ザルツカンマーグートSalzkammergutにあっては、
MondseeやFuschlSee、Wolfgangsee、Atterseeよりも、
さらに東寄りに位置する湖だ。

湖を見下ろす駅から下り降りると、
マイバウムMaibaumの高い高いツリーが、
飾られ屹立してる湖畔に出た。面積が約24.5km²あるというトラウンゼーの水面は、
ゆったりと春の陽射しに煌めいていました。

澄んだ空気に誘われて早速湖畔を散策。水打ち際近くの芝生の上に、
ちょこんちょこんと置かれたベンチがいい風情。
そこへ一艘のボートが通り過ぎます。

振り返れば岩の上に教会の塔が見える。船着場の案内板は、
湖上を巡るフェリーのルートを知らせてる。
船着場近くのホテルには、
幾つものデッキチェアが並んでいました。

手工芸品の博物館Handarbeitsmuseumを覗いて、
マイバウムを臨む場所へと戻ってきた。旅籠の名は「Hotel Post」。
seppガイドによるツアーにも登場するのがお約束の、
往時郵便を司る場所が町々の中心にあり、
自ずとひとが集まり旅人が立ち寄る場所となり、
郵便局が宿を兼ねるようになっていく。
こちらもそんな時代の背景により生まれたホテルなのでしょう。

当ホテルの一階にあるのレストランが、
「POSTSTUBE 1327」。比較的最近改装を施したのではないかなぁと思わせる店内は、
落ち着いていてかつ要所要所の造作のセンスがよい。

ビールは、Schloss Eggenbergと刻印のあるジョッキで。Schloss Eggenberg は、トラウン湖の北の町にある歴史ある醸造所。
ザルツカンマーグートの村々で呑るビールは、
このエッゲンベルグが定番なのかもしれません。

そしてまずは「Rindsuppe」。実に明瞭で曇りのない滋味のコンソメがいい。
麺状に刻んだ人参などの根菜を浮かべ、
両面を芳ばしく焼いたクネーデルにはチーズを含む。
うん、美味しい。

魚料理のお皿を横目にしつつ、
お願いしていた「KutscherGulasch」のお皿を前にする。パプリカを散らすだけで、
こんなに華やかなになるのかのよいお手本(笑)。
丁寧に拵えているのがソースの均質さから伺えます。

サワークリームをたっぷり頂いた器にて、
小粒のすいとんのようなダンプリングが添えられる。ジャガイモと小麦粉とを合わせたような、
独特モッチリのちび団子たちをグーラッシュのソースに絡める。
うんうん、食べ応えもして、
実によい感じであります。

トラウン湖Traunseeの畔、
Traunkirchenの郵便局お宿の一階に、
TAVERN「POSTSTUBE 1327」がある。無人駅の眼下にもこんな素敵なレストランがあるなんて。
エッゲンベルグSchloss Eggenbergのジョッキはまたきっと、
湖面眺める店先のテーブルでも美味しいことでしょう。

「POSTSTUBE 1327」
Ortsplatz 5 A-4801 Traunkirchen [Map] +43 (0)7617 2307
https://www.hotel-post-traunkirchen.at/kulinarik/wirtshaus-poststube-1327/

column/03748